歯大協が文科省に意見書を提出

 


私立歯科大学・歯学部の定員割れについて「歯科界全体が一丸となって対応しなければいけない」と,危機感の共有化を訴えた安井利一副会長・専務理事(円内).
 日本私立歯科大学協会(中原 泉会長)は4月30日,東京・九段南の事務局において歯科記者会との懇談会を開催し,文部科学省へ意見書を提出したことを発表すると共に,その経緯や先に新聞報道された入学者の定員割れなどについて,状況を説明した.

文科省医学教育課長へ意見書を提出
 歯大協は3月11日,文科省高等教育局医学教育課の新木一弘課長へ「文部科学省主催(平成21年2月4日)『国公私立大学歯学部長・歯学部附属病院長会議』について」と題した意見書を提出した.
 この意見書によると,歯科医療需給問題に関連付けて私立歯科大学・歯学部入学定員削減問題を議論することは,「我が国,歯科医療界に内在する問題及びその解決策を曖昧にし,国民歯科医療の向上という我が国歯科医療界の果たすべき本旨から大きく逸脱する論であると考える」とし,膨大な税金を投入している国立大学法人歯学部こそ,「合理化・定員削減・統廃合・大学院特化等を喫緊の課題としてとらえるべき」と指摘している.
 この論理の裏付けとして,平成10年10月26日付大学審議会「21世紀の大学像と今後の改革方策について(答申)??競争的環境の中で個性が輝く大学」を挙げ,その中の「国立大学が果たすべき役割」において「設置者である国の判断により,社会の需要に応じた政策的な定員管理等が可能であること」の記述に沿った考えだと主張している.
 また,3月31日には日本歯科医師会にも同意見書を提出し,大久保満男会長に直接説明し理解を求めた.歯大協では,今後も文科省の動きを注視しつつ,継続して働きかけを行っていく考え.

図1 私立歯科大学・歯学部の平成21年度入試結果.

図2 私・国・公立大学 歯学部 設置年度一覧.安井副会長は,
すでに昭和50年代から歯科医師需給問題は問題視されていたに
もかかわらず,国立大学は歯学部の設置を増やした,と解説した.


(2009.5.11)


>>> 戻る