3月の日歯定例記者会見より

 


一期目最後となる定例記者会見の挨拶で「息をつかず走り回った3年間だった」と述べる大久保満男会長(円内).4月2日には新執行部で初めての記者会見が行われる.

 日本歯科医師会は3月26日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において大久保執行部,今期最後となる定例記者会見を開催した.挨拶のなかで大久保満男会長は,3年間の任期を振り返った上で「反省すべきところは反省し,次の2年で歯科界の未来を切り拓くためのキッカケを掴みたい」と,二期目へ向けて意気込みを述べた.

レセプトオンライン請求義務化――例外認める方向へ
 政府の規制改革推進三カ年計画(2007〜2009年度)の改定案に「地域医療の崩壊を招くことのないよう配慮」との文言が追加された.31日に閣議決定される予定だが,これによりレセプトオンライン請求に例外が認められる方針.これを受けて近藤勝洪副会長は,「小さな風穴が空くのではないか」と期待を滲ませた.しかしながら,完全義務化の撤廃には至っておらず,今後も三師会と共闘して対応していく予定.
 また,日歯レセプトオンライン検討委員会では「レセプトオンライン請求に関するQ&A集」を作成した.これには「レセ電」「オンライン請求」といった用語の解説から「レセプトオンライン請求に要する費用はどのくらいですか」といった,具体的な27の質問に回答している.

「経済危機克服のための『有識者会合』」で大久保会長がプレゼン
 3月21日に内閣総理大臣官邸で開催された「経済危機克服のための『有識者会合』」に大久保会長が出席し,“社会保障の分野から経済回復のために何が出来るか”のテーマで3分間にわたりプレゼンテーションを行った.「8020社会の実現とその経済効果」と題し,(1)咀嚼機能が喪失するほど身体的健康悪化の危険性が高まる,(2)8020達成者のほうが外出する,といったデータを示し,残存歯数が多いほうが健康な高齢者ひいては健康な消費者となり,経済にも貢献することをアピールした.なお,同会合の模様は首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/keizai_kaigou/index.html)で動画が公開されている.

医療管理委員会が歯科医院経営実態調査報告書を取りまとめ
 日歯の医療管理委員会(元田文治委員長)は2月に,「歯科医院経営実態調査報告書」を取りまとめた.これは,中医協が実施している「医療経済実態調査」が歯科診療所の実態と乖離しているのではないか,との疑問に答えるため平成20年11月に調査を実施したもの.これによると,得られた948票(有効回答率29.9%)の調査票を分析した結果,「『医療経済実態調査』と比較して収入が低く,支出(経費)が高く,収支差額が大幅に低い」と報告している.

日歯福祉共済制度の今後について答申書
 
日歯厚生委員会(佐々木俊則委員長)は3月4日,大久保会長からの「改正保険業法・公益法人制度改革に伴う日歯福祉共済制度の今後の方向性について」とする諮問の答申書を取りまとめた.答申書では,日歯福祉共済制度は「協同組合への移行」あるいは「保険会社への委託」の2つが選択肢として考えられるとしているが,いずれもメリット・デメリットがあり,「どちらに優位性があるか結論は出なかった」としている.
 村上恵一専務理事は「あくまで(福祉共済制度の)自主運営を考えている」とした上で,公益法人制度改革に伴いそれが叶わない時のことを考え,さらなる議論をしていく意向を述べた.

歯科医療安全対策委員会が報告書を取りまとめ
 日歯の歯科医療安全対策委員会(助村大作委員長)は3月に,「歯科医療安全ネットワーク事業」の第2回報告書を取りまとめた.平成18年10月から実施されている同事業は,経年的に医療事故,医療紛争事例の収集・集計・分析等を行うことにより,歯科診療所での医療事故,医事紛争の発生予防,発生時対応,再発防止対策を講じ,歯科医療安全の推進を図ることを目的としている.第2回報告書は前回の報告(160件)に,新たに収集された265件を加えた425件の事例を基に構成されており,「どのような治療をしていたときに事故が多かったか」では,(1)補綴(23.1%),(2)口腔外科(22.8%),(3)保存(20.2%).「起こった事故の過失は何であったか」では,(1)手技ミス(32.9%),(2)注意確認不足(14.1%),(3)不明(9.9%)となっている.担当役員の高木幹正常務理事は「今後は,どうすれば医療事故を防止できるのかといった議論が必要」と述べ,次期執行部へ申し送りすることを報告した.

(2009.3.30)


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