『朝日新聞』の記事に対して日歯が緊急の記者会見を開催

 


緊急記者会見の様子.大久保満男会長は今回の『朝日新聞』の報道について,「わが国の言論界をリードしてきた新聞が,こういう記事を載せるのは残念」と語った.

 日本歯科医師会は3月5日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において緊急の記者会見を開催した.このなかで,2月27日付『朝日新聞』朝刊の「医療の値段『保険村の闇』」や「ゆるめた請求基準,不正呼ぶ」といった見出しの記事に対して,「偏見に満ちた事実誤認の記事」(大久保満男会長)として朝日新聞東京本社編集局長宛に抗議文を送った旨,発表がなされた.

経 緯
 会見では,大久保会長から今回の記事掲載までの経緯について説明がなされた.その要旨は以下のとおり.

「今回の診療報酬改定,財源を含めた今後の診療報酬改定について取材したい」と,朝日新聞社経済部から打診があった.
2月24日に大久保会長と渡辺三雄常務理事で,45分程度の取材を受けた.
記者に会ってみると,話の内容は「なぜ,改定率の0.42%よりも歯科医療費が膨らんだのか」が中心だった.
大久保会長は「日歯や学会が改定率を決めることはできない」「中医協で改定率は決まる」などと説明した.
掲載された記事を読んでみると,われわれの意見が出ておらず,取材では聞かれなかった出身校のことなどが記載されている.

抗議文を提出
 大久保会長は3月5日付で,朝日新聞東京本社編集局長宛に「記事について(抗議)」と題する文書を送付した.その内容は「今回の記事が取材内容を一切無視した形で掲載されたことに,憤りを通り越し,失望の念を禁じ得ません」とし,「匿名者からの一部取材の引用という形態をとり,あたかも総ての歯科医療機関が不正をおこなっているかのごとき印象を与える記述や,今回も含めて従来からの改定は中医協という公開の場で議論の上で決定され,更に改定結果も中医協で報告されているにも拘わらず,一部の関係者によって恣意的な改定が行われ,又,その結果であるかのような記述は,国民に誤解を与え,歯科医療および歯科関係者への信頼を損なうものと考えます」と記述している.

 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.

Q. 国民の誤解をどう解くか?
A. 謝罪や訂正記事が載ることは考えにくい.われわれの主張を記事として載せるとするならば,再び取材を受けて誤解を解く.
Q. 次回の改定への影響をどのように考えているか?
A. ないと思っている.厚労省にも,日歯が朝日新聞社に抗議したことは伝えたい.

27日の自民党社会保障制度調査会・医療委員会に約130名の衆参両院議員が出席
 同日の記者会見で日歯は,27日に行われた自民党の社会保障制度調査会・医療委員会でレセプトオンライン化が議題として取り上げられ,約130名の衆参両院議員が出席したことを発表した.ほとんどの議員が,省令を改正してオンライン請求義務化の撤廃,手挙げ方式の採用を主張していたという.鴨下一郎委員長によると,今後は同委員会の意見を踏まえて自民党幹部等と相談し,厚労省とも話を進めていくとのこと.

(2009.3.9)


>>> 戻る