医療経済実態調査に年間(決算)データも活用

 
 中医協が行う医療経済実態調査は,医療機関等における医療経済などの実態を明らかにし,社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として2年に1回実施しているが,1月28日に開催された中医協・調査実施小委員会において,本年6月に実施する第17回調査では“収支等の主要項目について,単月データでの調査と1年分の年間(決算)データでの調査”を行うことが決まった.
 これは,第17回調査について審議していた同小委において“決算データの活用”についての提案があったことを踏まえて,「決算データの活用に関する懇談会(WG)」を設置し検討してきた結果を基に審議し決定したものである.同懇談会は,12月24日,1月9日,そして22日の3回にわたり,意見交換や関係団体等からのヒアリングを行い,議論をとりまとめたが,年間(決算)データを把握する場合のメリットとして,会計情報としての信用性の観点,および会計実務と調査の親和性の観点から,以下の点が考えられるとしている.


(1) 調査月の特殊要因が排除されるため,単月調査に比べ数値が平準化される.
(2) 調査項目に前年(度)実績の12分の1の額を記入するための判断及び計算が省略されるとともに,作成済みの年間(決算)データから転記できる調査項目が多くあるため,多くの調査対象施設で記入負担が減り,効率的な調査が可能になる.
(3) 前年(度)実績の12分の1と調査月の数値との混在が解消されるため,費用と収益の対応関係が適切となり,会計情報としての信頼性が高まる.
(4) 1年間のデータであるため,単月調査での経費の計上漏れの可能性が排除される.
(5) 医薬品費,材料費について,月次棚卸を行っていないために前年(度)の構成費または仕入額により記入している医療機関等が多数存在すると考えられる.期末には実地棚卸が必ず行われるため,医薬品費の数値(金額及び構成比)が正確になる.


 もちろん年間(決算)データによる調査について若干の課題はあるが,同懇談会では,調査に障害となるような大きな問題はないと考えられる,としている.支払側の委員から「決算書のコピーを提出してもらい,事務局が情報収集に一番適した分析をすればよい……」との意見もあったが,現行の調査項目の削減や調査結果の分析については次回以降の審議でつめていくことになる.


(2009.2.2)


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