日歯連盟が第103回評議員会を開催

 


「われわれは自民党の支持組織」とあくまで自民党支持を強調した永山一行会長(円内左)と,来賓として国会報告を行った石井みどり参議院議員(円内右).

 日本歯科医師連盟は9月19日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において第103回評議員会を開催した.冒頭の挨拶に立った永山一行会長は,医科・歯科の格差,レセプトオンライン化,社会保障費に対する抑制,公益法人制度や口腔保健法(仮称)などへの対応について,「歯科界が抱える問題がまだまだ山積しており,政治力なくしては解決できない」と連盟の意義を強くアピールし,残り半年の任期に対する意気込みを示した.
 来賓挨拶では大久保満男日歯会長が,自民党総裁選にふれ,「社会保障に理解のある人になっていただきたい」との考えを示した.また国会報告では,職域代表の石井みどり参議院議員が,衆議院の総選挙が近いという予測もあってか「与党であるからこそ診療報酬改定,税制に関われる」と与党であることの重要性をアピールした上で,9月24日に第2回国民歯科問題議員連盟の総会が開かれるとした(なお,24日の総会では大久保日歯会長が「口腔保健法(仮称)の制定に向けて」と題し説明を行ったが,参加議員から活発な質問が繰り広げられ,同法制定に向けての動きが再確認されるものとなった).
 続いて,会務報告,時局報告,会計報告,監査報告の順で各種報告がなされた後,議案審議に入った.平成19年度一般会計収支決算,役員退職金積立金会計収支決算など,計6つの議案が上程されたが,執行部提案どおりすべて可決された.

○事前質問一覧
〔会務運営関連事項〕
・終身会員の認定年齢の設定について
・会費未納者の取扱いについて
・2,200億円削減撤廃運動について 
・調査研究部門の活動について 
・日歯連盟の組織強化策について 
・政権政党の移動 
・2大政党時代における政権交代時の対応について
〔協議関連事項〕
・次期参議院比例代表選挙単一候補者の選考基準について

 この中から一部を抜粋して,以下に概要を紹介する.なお,協議関連事項の「次期参議院比例代表単一候補者の選考基準について」への質問は,協議事項の「次期参議院議員選挙について」と一括して執り行われた.

終身会員の認定年齢の設定について(群馬県/松本常男評議員)
 関東地区歯科医師連盟役員連絡協議会が日歯連盟に提出した要望書に「終身会員の認定年齢の引き上げ及び在籍年数の見直し」があるが,どのように対処する予定か.また,日歯はすでに終身会員の見直しを理事会で決定したが,日歯連盟も具体的対策案があれば伺いたい.
 渡邉敏弘理事長:日歯でも先の代議員会で協議したが,来年3月の代議員会で議案として提出する予定である.日歯連盟としては,終身会員の定義は日歯の規定に合わせることになっているので,終身会員の年齢を70歳から75歳,在籍年数を30年から35年に引き上げる予定である.ただし,日歯では段階的な緩和策を考えているようなので,今後,連盟でも検討し決めていきたい.

会費未納者の取扱いについて
(山梨県/内藤敏雄評議員)
 現在,日歯連盟は会費未納者の数を把握しているか.また,この問題についてどのように対応していくつもりか.
 村田憙信副理事長:内藤評議員からは前回の評議員会でも同じ質問を受けて,日歯連盟では「会費未納管理システム」を作り,全国の会費未納者の数やその未納理由をコンピューターで管理している.この情報を都道府県歯連盟に提示することに関しては,法律上のさまざまな課題があるが,今の質問を受け,執行部としての対応を早急に検討していきたい.

政権政党の移動(神奈川県/富田 篤評議員)
2大政党時代における政権交代時の対応について(宮城県/目黒一美評議員)
 日歯連盟は2,200億円の社会保障費削減の撤廃を要求しているが,今後,解散総選挙で自民党から民主党へ政権交代がなされた場合,この撤廃要求は意味のないものとなってしまう.民主党では2001年に歯科に対する独自のワーキングチームを作っており,一般会員はこちらを支持する者も多く,会員離れに拍車が掛かることも予想される.これに対し日歯連盟としては今後どのように対応していくのか.
 永山会長:日歯連盟は戦後一貫して自民党の支持組織となっており,今後も自民党を支える大きな組織としての役割を果たしていきたい.また,民主党議員の中にも歯科医療に対して理解の深い人もいるが,総合して“民主党としてはどのような考えなのか”という点で疑問を感じる.執行部としては自民党政権が続いてほしいと願っているが,もし民主党が政権を取った場合は,われわれの政策を実現するためのロビー活動を民主党に対しても行わなければならない,と考えている.

協議事項:次期参議院議員選挙について

次期参議院比例代表選挙単一候補者の選考基準について(岐阜県/高木幹正評議員)
 次期参議院議員選挙での職域代表候補者の選出については,前回よりもさらに難しい局面が予想される.その中で,日歯連盟が必要と考えている人物像,また選考基準の優先順位について執行部の考えを伺いたい.
 永山会長:比例代表の単一候補者の選出については,理事会の中であえて優先順位,基準はつけなかった.今回の選考委員会では,学閥・地域閥に関係なく優秀で歯科の将来を任せられる人を推薦していただくよう各都道府県歯連盟にお願いした.優先順位をつけることも大事だが,今回はオープンな形で募集した.
 協議の冒頭で渡邉理事長は,(1)推薦規則・選考委員会規程は改正しない,(2)選考委員会は継続する,(3)対象となった7名は除外し,新たに候補者を検索する,ことを報告した.
 これに対し,評議員からは「7名を除外するのは反対」「規程を守ることも大事だが,われわれのためにならないなら理事会で規程を変えるべき」「規程に盛り込まれている『3分の2以上の賛成』は,候補者を選出するにあたって非常に難しい条件だ.規程を変更しなければ同じ結果を招く可能性もある」など,さまざまな意見が出たが,「執行部に一任する」との意見が大半を占めた.
 このため執行部は,理事会でこれら評議員の意見を踏まえて協議し,再度方向性を検討する,として閉会した.

(2008.09.30)


>>> 戻る