日本歯科医師会は7月17日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.大久保満男会長は挨拶のなかで,閣議決定された『骨太の方針2008』に2,200億円の社会保障費削減が盛り込まれたことに関して,「きわめて残念である」と遺憾の意を示し,政府に2,200億円の撤廃を再度迫るため,医療関係団体で組織している国民医療推進協議会(会長:唐澤祥人日医会長)が「地域医療崩壊阻止のための総決起大会」を開催することを表明した.なお,この決起大会は7月24日に東京・品川の笹川記念会館国際ホールにおいて1.200人(その内国会議員35人)の参加を得て力強く実施された.
公益法人制度改革などに伴う日歯福祉共済制度の今後の方向性について
保険業法改正ならびに公益法人制度改革関連法により,日歯が新たな法人形態に移行した時点から福祉共済制度の自主運営ができなくなる.そこで,厚生委員会に「今後の日歯福祉共済制度の方向性」について諮問がなされていたが,その中間答申書が取りまとめられた.そのなかで委員会は,「協同組合の設立」あるいは「保険会社への委託」の2つが現時点での選択肢として考えられる,との結論にいたった.
なお,可能性は低いが,「保険業法の適用除外」を受けることがすべての問題を解決できるとしており,引き続き日歯挙げての最重要課題として注力していきたいとの意向を示した.
中央値での実態把握を要請へ
7月9日の中医協において報告された第16回医療経済実態調査(平成19年6月実施)によると,1施設当たり収支差額の個人平均値は122万9,000円,全体平均値は115万1,000円となっており,階級別では50〜100万円,100〜150万円の順で多い.日歯総研が歯科医業経営実態調査の平成8年と18年の収支差額を分析した資料によると,正規分布していた平成8年に比べ,18年では平均値と中央値の間で差が大きく開いている(図).そのため,「医療経済調査結果が示す平均値は実態(傾向)を表しているのか.中央値で考えると変わってくるのではないか」(渡辺三雄常務理事)との懸念があるとし,平成19年のデータも分析し同様の差が明らかになれば,今後は中央値で実態を把握してもらうよう中医協などに要請していく,とした.
『緊急時対応マニュアル』の作成
歯科医療安全対策委員会(助村大作委員長)は,安全な医療体制を確立するため,長崎大学医学部麻酔学教室・澄川耕二教授監修の下,『緊急時対応マニュアル』を作成した.本マニュアルは,心肺蘇生の流れ,気道確保と人工呼吸,心臓マッサージ法などが,歯科医師だけでなくスタッフにも理解できるようわかりやすく解説されたもので,今後はHPや『日歯広報』などで同マニュアルの周知徹底をし,医療安全対策を図っていきたい,との考えを述べた. |
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