第73回日本学校歯科医会総会が開催さる
「認定学校歯科医制度(仮称)」について活発な協議を展開

 


円内は,「認定学校歯科医制度(仮称)」の一番の目的は児童・生徒に接する学校歯科医の資質向上である,との考えを述べる松島会長.

 社団法人日本学校歯科医会(松島悌二会長)は6月25日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において第73回総会を開き,「平成19年度事業報告」「平成19年度収入支出決算」など3議案について議論し,すべて原案どおり可決・確定した.また,日学歯が制度化をめざしている「認定学校歯科医制度(仮称)」について,3月19日開催の第72回総会に引き続き協議が行われた.
 「認定学校歯科医制度(仮称)」は,学校歯科医の資質と社会的信頼の向上を目的とするもので,日学歯またはその加盟団体が実施する各種研修課程を修了し,所定の単位を取得することなどが必須要件となる予定.ただし,学校歯科医の任命権は市区町村の教育委員会にあり,「認定医」を取得しなければ学校歯科医になれないというわけではない.また,相当数の学校歯科医が日学歯に未入会でいることも確かで,制度導入のための環境が十分には整っていないように見受けられる点もある.そのため,執行部にはこれまでに「たいへんよい制度と考える」「本制度の意義は十分理解できるし,実現を期待している」といった賛成意見だけでなく,「制度を試行することとし,もう少し時間をかけて協議してはどうか」「認定医のメリットが見えない」などの意見も寄せられていた.
 当日の協議では,代表会員から「資質の向上という目的は賛成だが,“認定医”という言葉にアレルギーがある会員もいるようなので,“学校歯科医研修制度”という名称がよいのではないか」「制度を作ることよりも日学歯の組織率を上げることのほうが先ではないか.スキルアップのための様々な研修や勉強会を行う魅力ある日学歯を作り組織率の向上につなげ,その上で制度について考えてはどうか」「“児童・生徒の口腔を通した健康づくり”という日学歯の方針を明確に示し,全会員に浸透させて,現行の学校歯科医に何が欠落しているか,何が必要なのかをメッセージとして発信し,その上で制度を上乗せすれば盤石ではないかと思う」といった声があがったが,資質の向上を図るために研修の場を設けることについては,ほとんどの代表会員が賛同の意向を示した.これに対し,丸山専務理事は「学校歯科保健は,これまでの保健管理から保健教育へと変わり,年1回の定期健診もやりっぱなしではなく,事後の対応まで求められている」「名称は認定医だが,“研修ありき”で制度化するものである」と強調し,理解を求めた.
 執行部は最後に「学校歯科医の資質向上の必要性という点については賛同が得られていることが確認できた」と述べたが,「“認定”という大きな問題であるので慎重に対応していくことが不可欠だ」とし,会員から寄せられた意見を集約して会員が納得する形にまとめ直し,平成21年度から全国統一の基礎研修をスタートさせたい,との意向を示した.


(2008.07.08)
>>> 戻る