6月の日歯定例記者会見より

 


大久保満男会長(円内)は,『骨太の方針2008』で「社会保障費歳出削減」の文字が盛り込まれたことについて,「非常に残念」との感想を述べ,「社会保障費削減の方針をやめたほうが,国民の支持を得られるのではないか」との考えを示した.

 日本歯科医師会は6月26日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.会見では,歯の健康力推進歯科医師等養成講習会の説明会開催や診療報酬改定検討チーム(仮称)の設置など,各種報告がなされた.

歯の健康力推進歯科医師等養成講習会の説明会開催
 日歯は厚生労働省より,高齢期・寝たきり者の口腔ケアの推進を図るため,最新の歯科保健医療に関する技術の研鑽や知見の習得,そして地域における先進的な医科?歯科連携等を図るための講習会を,全国で開催するよう委託を受けている.
 そのため全国10ブロックで,「歯の健康力推進歯科医師等養成講習会」を開催し,受講した歯科医師は在宅歯科医療機器の設備整備費が国から1/3補助される(厚労省予算:3億7千万円).同講習会を開催するにあたり,日歯では7月9日に担当する地区歯科医師会向けに説明会を開催し,厚労省医政局歯科保健課や日本歯科総合研究機構から解説を行う.

診療報酬改定検討チーム(仮称)を設置
 これまで日歯では,診療報酬を検討する様々なチームを立ち上げてきたが,19年度末で一度すべて解散となった.そして改めて「診療報酬改定検討チーム」(仮称)を設置し,平成20年度改定の再評価や分析,現行および今後の問題への対策などを検討する.人選は大久保満男会長が行い,7月半ばには第1回の会議が開催される見通し.

公益法人制度改革に伴う共済制度の存続を要望
 12月から施行される公益法人制度改革により,公益法人が行う共済事業は平成20〜25年の間に新たな法人形態に移行した時点から保険業法の全面適用を受け,自主運営が困難となることが予想される.そのため日歯では,「共済の会計は,長期永続的かつ大きな資産規模を持つ事業であることから,社団の会計と厳格に分離され,余剰金の帰属も基金にあって,本会の共済事業は社団法人の本体事業からは独立した事業である」とし,日歯の共済制度が保険業法の適用除外となるよう,連盟を通じて国会議員等へ要望していく.

日歯PRキャラクター「よ坊さん」のCMを映画館で
 日歯では,若年齢層が“歯科医療から距離のある層”であり,口腔内に異常を自覚しても治療に行かない人が多いとの報告(「歯科医療に関する一般生活者意識調査」)から,この夏公開される『崖の上のポニョ』(監督:宮崎 駿)を上映する映画館のうち,10館で「よ坊さん」の15秒間CMを放映する.これにより,約9.3万人の視聴を見込んでいる.

 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.
Q. 6月10日の経済財政諮問会議で,民間議員から「歯科麻酔医に研修を積ませて,不足している医科の麻酔医に充ててはどうか」という意見が出ているが,これに対する見解は?
A. 日本歯科麻酔学会に問い合わせたところ「歯科麻酔医は歯科医業の中で行う」との考えであり,これを日歯としても支持する.歯科麻酔医を医科の不足分に充てるというのは,いかにも歯科麻酔医数が過剰で暇であるかのような印象を与えるが,歯科では年間2万症例以上の全身麻酔を行っている.あくまで医科での不足は,医科の中で対策を図るべきである.


(2008.07.02)
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