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「課題は山積しているが,がんばって最後の任期を全うしたい」と語った大久保満男会長(円内). |
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日本歯科医師会は4月24日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において今年度第1回目の理事会を開催し,終了後に定例記者会見を開催した.会見では,新公益法人への対応を中心に今年度の課題について報告がなされた.
公益法人改革への対応
12月より新公益法人制度が実施され,以後5年間にわたり新公益法人移行への準備期間となる.新たに社団を取得するには,役員任期を2年,公益事業を事業費率の50%以上に,などといった様々な制約が設けられるが,日歯の事業は,ほぼすべてが公益事業に認められる見込みであるという.しかし,福祉共済などは公益事業とは認められないため,組合などを設立して独立させるか,保険会社へ委託するなどの対応が必要となってくる.
そのため新たな社団を取得すると,日歯は公益のみを事業とし,福祉共済などの“共益”はまったく考慮されない組織として運営される可能性が極めて高い.これに対して大久保満男会長は「移行当初は共益の組織が外部に出ただけという意識が続くだろうが,時間の経過とともに新入会員の意識に『なぜ歯科医師会に入会するのか』の根拠を問う疑念が出されはしないか」と危惧しており,今後は移行準備の事務手続きと併せて,日歯の存在意義についても検討する.
在宅歯科医療機器設備整備費に補助金 厚生労働省は,新健康フロンティア戦略の推進を図るため,歯科保健医療の普及向上に8億4,200万円(平成19年度は4億7,200万円)の予算を確保する.これにより,主に高齢期・寝たきり者等に対する在宅歯科診療を推進するために,「歯の健康力推進歯科医師等養成講習会」を受講した歯科医師を対象に,在宅歯科医療機器の設備整備費を補助する(負担割合:国1/3,都道府県1/3,事業者1/3).
この講習会は,在宅歯科医療,口腔ケア等のプロフェッショナルケアについて専門性をもつ歯科医師および歯科衛生士を養成することを目的としており,厚労省の委託を受けて日歯が主催し,全国10地区で開催される.内容はワークショップ(参加者主体の体験型研修)形式を主体として,施設見学による体験学習も取り入れる.そして,1回あたり50人程度の参加者を募り,5日間にわたり開催する予定.
保険モニター制度開始
渡辺三雄常務理事は,日歯会員から保険診療のモニターとなる会員を選出し,月ごとの請求点数や件数,日数などを定点観測する保険モニター制度を開始すると発表した.5月2日までには各都道府県歯にモニターの人選を依頼し,一般会員203名と各都道府県歯の社保担当役員47名の合計280名が選出される.この観測結果から診療報酬改定の影響などを分析し,中医協への提出資料にしたいという.
なお,中医協は23日に総会が開催され,公益委員の遠藤久夫氏(学習院大教授)が会長に就任した.
レセプトオンライン化に向けてレセコン開発の事業者選定へ
平成23年4月より,原則としてすべての医療機関はオンラインでレセプトを請求するようになる.これに対し日歯は,レセプトを電子データに変換し,電子媒体とオンラインを用いて請求することを可能とするシステム(レセコン)の開発およびその提供のあり方について検討を重ねてきた.そのレセコン開発ならびに運用・保守,そして使用者のサポート提供を担う事業者を選定するため,17日に説明会が開催された.
この説明会は事業者選定の透明性を確保するため,日本総合研究所に委託されており,同研究所が説明会を開催した(54社参加).この説明会を踏まえて,レセコン開発に名乗りを挙げたのは26社.今後,見積金額などの提出書類により選定が行われ,7月下旬には日歯と委託先企業との間で契約が締結される見込み.
役員合宿勉強会を開催 日歯は,次期診療報酬改定の大きな課題の一つであると考えられている保険外併用療養費制度についてのロジック整理,また歯科医療の根拠となる口腔保健法(仮称)の検討について,その検討経過と結果を,日歯役員や歯科関連団体が共有する必要があるとして,6月4日・5日の両日,新歯科医師会館において役員合宿勉強会を開催する.参加者は,日歯役員27名,戦略会議主任4名,日歯総研2名ほか,日本歯科医学会や日歯連盟,日本歯科商工協会役員などとなる.大久保会長は「自民党から『口腔保健法の中身を考えてほしい』と打診があった」とし,国民に対する歯科保健・医療に関する意義を高めるための役割を考慮して,口腔保健法を制定する意味・意義について検討したいとの考えを示した. |
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