10月の日歯定例記者会見より

 


冒頭の挨拶で「風向きが変わってきた」と,最近の消費税増税についての議論に感想を述べる大久保満男会長.日歯としては,次期診療報酬改定に向けてプラス改定の実現を訴えていくとの意向を示した.

  日本歯科医師会は10月18日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.会見では各種報告,そして“会員の除名”について多くの時間が割かれた.

“会員除名議案否決”について,日歯が改めて見解
 日歯は,先の代議員会で会員の除名が可決されたが,総会で一転否決された件について「日歯として改めてコメントを出す必要がある」との考えが理事会において了承されたことを明かした.これにより,今月中にその文面を取りまとめ,発表するという.
 この除名に関する件については,18日現在24道県,9市の歯科医師会から「総会で否決されたことは遺憾」といった意見書ならびに要望書が日歯に届いており,「総会の否決だけが日歯の姿勢ではないことを外部に示す必要がある」(大久保満男会長)との判断に至った.

「歯科医療機器ガイドライン検討委員会」(仮称)を設置
 日歯では,平成15年8月に「歯科材料試験ガイドライン検討委員会」を設置し,わが国の歯科器材製造認可基準である「歯科材料の物理的・化学的及び生物学的試験のガイドライン」の改訂作業を行い,平成18年3月に厚生労働省に報告している.しかし,同ガイドラインは,引用または参照するJISおよびISO規格の改訂に伴い,内容の見直しが必要となる.一方,歯科用器械の物理的・化学的および生物学的試験のガイドラインが整備されれば,診査・認証の迅速化,効率化を図ることが期待される.
 この現状を踏まえ,本年5月15日,6月20日に日歯,厚労省,歯科関係業界の関係者が打ち合わせを行った結果,三者構成による標記臨時委員会を設置し,歯科材料ガイドラインの見直し,および新たに歯科用器械ガイドラインの策定に向けた検討を行うことを確認した.
 日歯を含めた歯科医療機器産業ビジョン作成協議会では,「平成19年版 歯科医療機器産業ビジョン」(月刊『日本歯科評論』9月号参照)をすでに厚労省に提出しているが,「歯科医療機器のビジョンだけではなく,ガイドラインも必要」とのことから,日歯5名,厚労省5名,歯科関係業界5名の委員構成で,検討を重ねる.

 報告終了後,以下のような各種報告がなされた.
・11月8日 2007ベストスマイルオブザイヤー賞表彰式開催
・11月14日 国民歯科医療を守る総決起大会開催(日歯連盟主催,日歯共催)
・11月21日 都道府県歯科医師会専務理事連絡協議会開催
・11月30日 都道府県歯科医師会事務長事務連絡会開催
・文科省・厚労省に「歯科医師養成数に関する要望書」を提出
・会員の自殺の原因調査について各都道府県歯に依頼

  そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.
Q. 次期診療報酬改定についての具体的な取り組みは?
A. 対策本部を作り,どういう視点でどこを重点的にするのか議論をしている.この記者会見の後も第3回目の対策会議を開く.日本歯科医学会からガイドラインが作成されているので,臨床的視点も取り入れながら対策を練っている.
Q. 『読売新聞』で日歯の総会についての記事が掲載され,「身内に対する甘い処分」といった内容であったが?
A. その後,読売新聞社から追加取材を受けた.「身内に対して甘い」との指摘はあったが,記者が日歯の定款についてよく理解していなかったので,解説した.そのうえで「今後の日歯のコメントに注目している」とのことだった.
Q. 2日に東京歯科保険医協会が,都内の歯科開業医が長期の指導・監査のなかで自殺したとして記者会見を開いたが,日歯が行う自殺に関する調査は,それがきっかけか?
A. 今回の自殺がきっかけではない.前々から「自殺が増えているようだ」とのうわさは聞いていた.しかし,その原因が指導医療官による指導・監査なのか,経済的理由なのかはわからない.そこで,まず調査をしようということになった.



(2007.10.22)
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