東京歯科保険医協会が会見

 


左より,呉橋副会長,中川会長,藤野理事,浅井副会長.

  東京歯科保険医協会(中川勝洋会長)では,去る10月2日,同協会会議室において記者会見を開催した.これは,東京都内の歯科開業医が監査を前に自殺したことを受けたもので,本事件の経過を含めた報告がなされた.
 その中で同協会は,今回の自殺が指導から監査に至る一連の経過の中で実行されていることに着目し,指導医療官が取り仕切る指導の内容や,監査に至る過程において問題はなかったのか,そのあり方も含め東京社会保険事務局に抗議文を提出したことを明らかにした.
 なお,11日に同協会理事会において下記のような決議がなされた(文中の名前は,編集部の判断でイニシャルに変えさせていただきました).

理事会決議

監査を前にM先生が自殺
 9月17日,東京の歯科開業医が自殺をした.指導らしき指導も行われないまま,個別指導から監査に至る過程での自殺であった.東京歯科保険医協会理事会は,会員のM先生の死に対し哀悼の意を表すと共に,以後このような痛ましい事件が再び起きないよう,厚生労働省・社会保険事務局に対し,指導・監査の抜本的改善を求めるものである.

自殺は何故起こったのか
 最初の指導でM先生は「何故あそこまで人権を無視したことを言われなければいけないのか」「まさに恫喝で終始しました」と,1年以上もこのことを訴え続けていた.
 また,指導中断の明確な理由の説明もなく,今後どうなるのか何の連絡もない時間が9カ月も続いた.社会保険事務局の都合だけで時間を引き延ばしていたことはないか.放置されていたM先生の心の内を考えたことがあるのか.監査通知を手にした後に自殺を行っていることを見れば,指導・監査が自殺に関係していることは明らかである.
 社会保険事務局の対応如何では最悪の事態は避けられたはずである.

さらなる犠牲者を出さないために
 今回の事件は健康保険法で定められている指導・監査を行う中で起きている.しかし,東京での個別指導は,根拠のはっきりしない「中断」が横行し,指導前の患者実調を行うなど,指導大綱を逸脱しているのが実態である.東京で行われている指導を見直すべきである.

 新聞報道を見た会員からは,「自分も個別指導を受けた.犯罪者のような取扱いを受けた.察するにあまりある」等の声が寄せられている.指導の場での人権を無視した発言,理由のはっきりしない長期の中断が日常的に行われているのではないか.制度を実施する中で自殺者が出た以上,社会保険事務局は問題点を明らかにすべきである.

 東京歯科保険医協会は会員の命と権利を守るため断固たたかうものである.
以上決議する
2007年10月11日
2007年度第7回理事会


(2007.10.22)
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