参院選 石井みどり氏22万票で当選――日歯と日技で明暗分ける

 
 歯科界より2名が自民党比例代表として立候補した第21回参議院選挙は,7月29日に投開票が行われた.初の立候補となった石井みどり氏(日歯連盟参与)は,自民党への逆風が吹き荒れるなか228,165票を獲得し,自民党比例代表中8位で当選した.一方,二度目の出馬となった中西しげあき氏(日技会長)は前回より1万票の上乗せとなったが,92,207票で25位(当選ラインは14位まで)にとどまり,前回に引き続き落選となった.選挙を終えて両陣営は,投開票日の翌30日にそれぞれ記者会見を行った.

石井みどり陣営記者会見
 新歯科医師会館の大会議室で行われた石井みどり陣営の記者会見では,石井みどり氏をはじめ永山一行日歯連盟会長,大久保満男日歯会長らが出席し,歓喜の当選報告が行われた.今回の参議院選挙で,医療界唯一の当選となった石井みどり氏は「歯科界あげての応援と支持によって当選することができた」と喜びを語るとともに,「新たな責任を感じている」と早くも国会議員としての責務に身を引き締めていた.特に来年の診療報酬改定に対しては,歯科医師会,歯科医学会などとの連携を強め「大きなスクラムを組んで尽力したい」との意気込みを見せた.
 永山日歯連盟会長は,今回の選挙を「日本の歯科界再生の試金石であった」と振り返り,会員の危機感が22万の票に繋がったとの認識を示した.そして,石井みどり議員の誕生を歯科界再生の出発点にしたいとの挨拶を述べた.
 大久保日歯会長は「歯科界から新しい政治家が生まれたことは素直に喜ばしいこと」と率直な感想を述べ,石井みどり氏に「日本の政治になくてはならない存在になることを願っている」と激励した.



満面の笑みでダルマに目入れを行う石井みどり氏.「投票してくださった方を裏切ることのない政治家を目指していきたい」と抱負を述べた(円内).
 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.
Q. 得票数は予想どおりか?
A. 会員のみの支援者名簿が約40万,そのほかの支援団体や産業界で約5万あった.その約5割が獲得票に繋がったということだと思う.日歯連盟の独自の票読みでもそれに近い数値が出ていた.
Q. 自民党の大敗による影響は?
A. 今回の選挙で,歯科界に理解のある議員が落選してしまったのは残念だが,新しく議員になった人たちと話し合いの場を持ち,歯科医療への理解を深めていただくことで連携を強めていきたい.

左から,石井みどり氏当選の喜びを語る永山一行日歯連盟会長,大久保満男日歯会長,蒲生 洵日歯連盟副会長


参議院選挙の結果を受けて記者会見をする日本歯科技工士連盟.沈痛な面持ちで落選の報告をする中西しげあき氏(円内).
中西しげあき陣営記者会見
 前回に引き続き二度目の落選となった中西しげあき氏は,日本歯科技工士会館で記者会見を開催し,「言い尽くせぬ感謝」と題するコメントを発表した.
 このなかで中西氏は,「すべてが私の不徳の致すところである」と,前回を超える得票数だったが“落選”という結果になってしまったことを謝罪した.しかし選挙には敗れたが,「多くの仲間が自らの声を社会へ発信した.この経験は,今後の歯科技工社会が自立し一歩踏み出す礎となる」と評価した.
 保田義雄日技連盟選対本部長は,「国政を争う選挙の本部長として私自身にその能力がなかった」と,自身の責任を認め,謝罪の弁を述べた.
 また,3年後の参議院選挙に立候補するかとの質問に対して中西氏は「連盟組織がある以上,国政に代表者を出すというのは前提.私が出るということではなく,日技連盟としては挑戦を続けていく」と述べた.
 なお,歯科技工士をはじめ作業療法士や診療放射線技師らが組織する「21世紀の医療と福祉を支える会」(熊谷和正会長)では,今回の参議院選挙で中西氏を支援する代わりに,次回の参議院選挙では作業療法士から候補者を擁立する取り決めとなっている(「ヒョーロン・ニュース」2006.1.17を参照)そのため,次回の選挙については「みなさんと相談しながら決めたい」(古橋博美理事長)と述べるにとどまった.


(2007.08.01)
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