ジエチレングリコールを含有した中国製歯磨剤の自主回収について

 
 中国から国内に輸入・販売されている「チューブ入り歯磨剤」からジエチレングリコールが検出され,自主回収となる製品が相次いでいるが(下表を参照),同様の製品を輸入・販売していたフィブロ製薬株式会社(東京都)でも,取り扱った製品の自主回収を行う旨,6月29日に東京都庁記者クラブを通じて発表した.
 同社が自主回収する製品は,中国の歯磨剤製造会社から輸入・販売していた「三七歯磨」で,第三者検査機関において自主検査したところ,一部の製品からジエチレングリコールが検出された.
 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課によると,“歯磨剤に使用してはならない”原材料・薬品が決められているが,ジエチレングリコールはその中にリストアップされておらず,ジエチレングリコールを歯磨剤に使用すること自体は薬事法違反にはならない.もちろん,使用が禁止されていない材料や薬剤であっても製品の安全性に配慮して使用量を考慮すべきであるが,製品全体に占める使用割合は特に規定されておらず,自主回収となった製品から検出されたジエチレングリコールは,いずれも通常の使用では健康に被害の出る可能性は低い,とのことである.
 では,なぜこれらの製品が自主回収するに至ったのかというと,1.製造会社が“使用していない”はずのジエチレングリコールが検出されたということは,製品の生産管理体制に問題がある(異物の混入),2.薬事法において,歯磨剤は「全成分表示」(製造に使用した原材料・成分・薬剤をすべて表示する)が義務づけられた製品であるが,包装などにジエチレングリコールの含有が表示されていなかった(表示義務違反),という2点による.
 なお,薬事法上,歯磨剤は「化粧品」(清掃剤や研磨剤,発泡剤など歯を清掃するための基本成分のみ含有)と「医薬部外品」(基本成分に加えて抗菌剤やフッ素化合物など薬用成分を含有)とに分かれるが,今回,自主回収となった製品はすべて「化粧品」扱いの歯磨剤である.

 これまでに自主回収されたジエチレングリコールが混入した中国製歯磨剤の一覧(6月29日現在)
 輸入・販売元(所在地)   製品名 内容量 検出量
(株)JTB商事(東京) Cool White 3g,5g 5.90%
Js Beau-fre 3g 0.10%
昭和刷子(株)(愛媛) Beau-fre 3g 0.10%
(株)島倉工業所(新潟) みずほハミガキQX 5g,6g 0.13%
(株)オキナ(大阪) シャイニーM 5g 0.11%
シャイニーK 3g 0.80%
シントワールド(株)(熊本) SWハミガキ 3g,5g 0.60%
(株)ブルーム(佐賀) ハミガキ粉 3g 1.90%
(株)グランドシャンパーニュ(愛知) MTKトゥースペースト 3g,5g 3.00%
(有)コーライ(広島) トゥースペイスト 3g,5g 8.50%
(株)創信(東京) トゥインクルハミガキ 3g 6.20%
子供用歯みがき粉イチゴ味 3g 1.20%
フィブロ製薬(株)(東京) 三七歯磨 125g 0.10%
(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課作成表を改変)


(2007.07.03)
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