6月の日歯定例記者会見より

 
 日本歯科医師会は6月28日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.大久保満男会長は6月に取りまとめられた「経済財政改革の基本方針2007」について触れ,「医療の中に経済的視点を入れることは違和感を感じる」との感想を述べた.また,レセプトオンライン化を例に挙げ,「医療分野に“効率化”という考えはそぐわない」と語り,ムダを容認するわけではないが,人間の身体を治す医療に経済的理論は取り入れるべきではない,との姿勢を改めて強調した.
 そのほか,下記のような報告がなされた.

日歯総研設立記念シンポジウム開催
 4月1日より日本歯科総合研究機構(研究機構長:箱崎守男日歯副会長)が設立され,石井拓男研究部長を中心に活動を開始している.そこで,8月2日に同研究機構の設立を記念して,「医療連携による新たな歯科保健医療を求めて」と題したシンポジウムを,新歯科医師会館で開催する.特別講演には,斉藤邦彦元駐米大使が情報と戦略の重要性について講演する.そして,パネルディスカッション(コーディネーター:石井拓男研究部長)では,天本 宏先生(日本医師会常任理事),前沢政次先生(日本プライマリ・ケア学会会長),黒岩卓夫先生(在宅ケアを支える診療所全国ネットワーク会長),清野 裕先生(日本糖尿病協会理事長),大久保満男先生(日本歯科医師会会長)により,「医療連携の取り組みの現状」について議論を行う.

歯科診療所における医療安全管理・院内感染対策指針モデルを作成
 歯科医療安全対策委員会(助村大作委員長)は21日,医療法改正により4月から義務付けられている医療の安全を確保するための歯科診療所における各種指針・手順書・計画について,具体的なモデルおよび編集例を発表した.これは,厚生労働省の指針を踏まえて作成したもので,『日歯広報』7月15日号に冊子として同封し,会員への周知を図る.村上恵一専務理事は「厚労省より『7月1日からある程度の(医療安全に関する)指導が入る』との情報が入っている」とし,各診療所における対応をお願いした.

定款等改正臨時委員会を設置
 国が現在推し進めている公益法人制度改革に併せて,組織改革と定款改正,さらに関係諸規則の見直しを図る必要があることから,日歯は定款等改正臨時委員会を設置することを決めた.全国から地区ブロックごとに委員を選出し(合計10名),役員の任期などについて検討する.


「経済財政改革の基本方針2007」について,「医療の中に経済的視点を入れることに,強い憤りを感じる」と述べる大久保満男会長(円内).
 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.
Q. 日歯の会員増減数が平成17年に106人増,平成18年に116人増(平成8年時は795人増)と,頭打ちになっているが,対策は何か考えているか?
A. 機構改革検討委員会のワーキンググループで議論しているところで,間もなく答申書が出来てくる予定.
Q. 夢みるこども基金(理事長代行:中村 直常任理事)が日本顎咬合学会関係者を告訴し捜査が始まったが,これに対する日歯の見解は?
A. 会員同士の争いであり,日歯としては中立の立場を守るためどちらの肩を持つことも出来ない.残念ながら一定の距離を保ち,しばらく静観する.円満な解決を心から望んでいる.


(2007.07.03)
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