2月の日歯連盟定例記者会見より



記者会見に出席する(左から)小谷田 宏常務理事,大久保満男会長,内山文博専務理事.この日の理事会で,「日本歯科医師会政策ビジョン」が正式に承認されたことが報告された.

 日本歯科医師会は2月22日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.会見では,後期高齢者医療制度に対する考え方や国民向けホームページの内容,「日歯メールマガジン」の概要などが説明された.

自民党の社会保障制度調査会医療委員会で後期高齢者医療制度についてヒアリング
 自民党の社会保障制度調査会医療委員会では,後期高齢者医療制度について関係団体からヒアリングを行っている(日医は22日にヒアリングが行われた).日歯に対しても23日にヒアリングが行われ,大久保満男会長が後期高齢者における歯科医療の重要性を説明する.
 大久保会長は,特に大事なポイントとして「在宅歯科診療」を挙げ,これによって(1)食べられる生活を送ってもらう,(2)誤嚥性肺炎の予防,(3)ターミナル期の歯科治療,「この3点を診療報酬でどのように位置付けられるか」が問題であるとの認識を示し,在宅歯科診療を行いやすくするための基盤整備を訴えるという.

国民向けホームページ「〜歯とお口のことなら何でもわかる〜『テーマパーク8020』」4月よりオープン予定
 日歯は,日歯改革プロジェクトの一環として,国民に歯科保健・歯科医療をアピールするだけでなく,歯と口に関するあらゆる知識・情報を得る場を広く国民に提供するために「国民へのアピール推進チーム」を設置している.同チームでは,検討事項のひとつとして国民向けホームページの構築を目指していたが,4月からオープンすることが発表された.名称は「〜歯とお口のことなら何でもわかる〜『テーマパーク8020』」(図)とし,(1)お口のトラブルと治療,(2)病気予防とケア,(3)お口の仕組み,など計6つのカテゴリーに分けて,国民が理解しやすいように平明な言葉・表現を用いた内容にする.説明した小谷田 宏常務理事(広報担当)は「日歯のホームページである以上は,医学的根拠のあるものにしたい」と述べ,現在(内容の)執筆者を厳選中であるという.また,ホームページ開設後も,日歯広報調査室・広報部会(HP企画運営)において,国民に親しまれるものとなるよう随時更新していく.

「日歯メールマガジン」配信へ
 日歯は会員向けに「日歯メールマガジン」を4月から週1回(月曜日)配信する.メールマガジンには,日歯の行事予定やシンポジウム開催案内などの情報が盛り込まれ,「JDAウィークリー」と題したニュースも含まれる.さらに,独自性の高い内容にするために,リレー形式での日歯役員によるコラムを毎回設ける.会員には昨年の10月頃から登録を呼びかけているが,2月20日現在3,846人の登録があるという.また現時点では,会員のみの配信を予定しているが,いずれは国民向けにも発信したいとのこと.

「診療報酬改定基本問題検討チーム」設置
 日歯は,「次期診療報酬改定検討チーム」(仮称)を設置していたが(2007.01.30の「ヒョーロン・ニュース」参照),正式名称を「診療報酬改定基本問題検討チーム」に決めた.「次期」の文字を取った理由として「中期的な視野で診療報酬に対する流れをつくるため」(大久保会長)とした.すでに第1回の会議が開催されているが,箱崎守男副会長を座長にフリートーキング方式で骨格的な内容を議論したという.今後,小児,成人,高齢者というようにライフステージごとにディスカッションをし,7月ぐらいまでには診療報酬における歯科の在り方を打ち出す.その後,社保委員会で具体的な点数項目を議論する考え.

平成18年度「生涯研修ライブラリー」(DVD)を全会員配布
 平成18年度制作生涯研修ライブラリーは,DVDのみの制作となっているが,全9タイトルをDVD1枚にし,『日本歯科医師会雑誌』3月号に綴じ込む形式で日歯全会員に配布される.日歯では,「気付かずに雑誌を処分した」といったことがないよう,会員への周知を図っている.

 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた(回答はすべて大久保会長).

Q. 後期高齢者医療制度についてのビジョンをもう少し具体的に教えて欲しい.
A. 18日に日本プライマリ・ケア学会と日歯で会議を行った.座長に石井拓男研究機関運営準備委員会委員を据え,後期高齢者医療を(4月から設置する)研究機関のモデルケースにしたいと考えている.介護保険改正で訪問歯科診療が進むと期待を寄せていたが,思ったほど進んでいない.介護は現実的には福祉の世界であるが,医療で福祉を支えていきたいと考えている.これまでの診療所完結型から,歯科医師の考え方を変えていかなければならないと思う.
Q. NPO法人歯科医療情報推進機構(藤本孝雄理事長)について,日歯はすでに「第三者評価機関として不適当である」との見解を示しているが(2005.04.26「ヒョーロン・ニュース」参照),最近になって厚生労働省の保険課長が挨拶に行ったり,日歯役員が聴きに行ったりしているそうだが,日歯としての見解は変わったのか.
A. 基本的に(不適当であるとの見解)は変えていない.先方からもコンタクトをとってこないので,静観している状態.


 国民向けホームページ「〜歯とお口のことなら何でもわかる〜『テーマパーク8020』」のトップページのイメージ図.各パビリオンにアクセスすると,その内容が紹介されるようになっている.



(2007.01.26)

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