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基調講演に先立ち挨拶をする松尾会長.会場には多くの参加者が集い,関心の高さが窺えた. |
日本アンチエイジング歯科学会(松尾 通会長)はこのほど「バクテリアセラピー研究会」を発足し,去る12 月9日,東京・港区のスウェーデン大使館において「発足記念基調講演会および記念レセプション」を開催した.
「バクテリアセラピー」とは,人体常在菌のバランスを乳酸菌やビフィズス菌など体内で有用な働きをする善玉菌であるプロバイオティクスを活用して改善し,全身の様々な疾患の発症予防,治療補助に役立てるスウェーデン生まれの手法であるが,最近では口腔内細菌に対してもバクテリアセラピーでバランスを整え,疾病予防につなげていく考え方が広がっているという.
基調講演では,はじめに花田信弘先生(鶴見大学歯学部教授)が「口腔保健におけるプロバイオティクスの役割」と題する講演を行った.この中で花田先生は,口腔内の細菌の働きや特徴,バイオフィルムの構造などを解説したうえで,口腔ケアはいかにグラム陽性菌を増やしてグラム陰性菌を減らすかがポイントであるとし,乳酸菌の一種であるロイテリ菌にはグラム陰性菌である歯周病菌やミュータンス菌,ソブリヌス菌を抑える働きがあり,プロバイオティクスはPMTC 後の有力な武器になりうると述べた.
続いてスウェーデンのバイオテクノロジー企業であるバイオガイア社のアンダース・サックリソン取締役副社長が「バクテリアセラピーについて(臨床事例)」と題して講演し,同社が販売するデンタル予防サプリメント「L.r. プロデンティス」の口腔の菌質改善に対する有効性について解説.「L.r. プロデンティス」入りのヨーグルトを14 日間摂取した結果,有意にミュータンス菌が減少した臨床実験をはじめ,プラークの減少,歯周病に関与する口腔病原菌の減少,歯肉からの出血と歯肉炎の抑制など,「L.r. プロデンティス」が口腔の健康維持につながる様々なエビデンスを紹介した.
松尾会長は挨拶の中で,「バクテリアセラピーを活用して口腔の環境を整えることにより,他の器官にも大きな福音をもたらすので,歯科の活躍する場が広がると考えている.大学など研究機関のバックアップもいただきながら健全に発展させ,日本の歯科医療をますますよくしてきたい」と抱負を述べた.
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