第4回かながわお口の健康フォーラムが盛況裏に開催

 
 


後半,藤沢市歯科医師会の鈴木聡行会長を座長に行われたディスカッションの様子.パネリストのうち,左端が特別講演講師の南淵明宏先生,左から2番目が基調講演講師の太田嘉英先生.円内は,はじめに挨拶に立った小田原歯科医師会の河野 力会長.




基調講演では,誤嚥性肺炎に関連した「うまく飲み込むこと」について,ヤクルトを用いた実験が行われた.口唇の閉じ具合や舌の動き,咬み合わせなど,参加者は普段あまり意識したことのない嚥下の仕組みについて理解できたようである.
去る12月2日,神奈川・小田原の小田原市民会館大ホールにおいて,社団法人小田原歯科医師会(河野 力会長)の主催により,第4回かながわお口の健康フォーラムが開催された.テーマは「“おだわら”から発進する健康生活のすすめ」と題し,南淵明宏先生(大和成和病院院長)による特別講演と,太田嘉英先生(東海大学医学部口腔外科学領域教授)による基調講演など,示唆に富んだ講演やディスカッションが行われた.また事前受付の段階で900名以上の申し込みがあり,地域社会の歯科医療に対する関心の高さを窺わせたフォーラムでもあった.
 南淵明宏先生による特別講演「心臓病と健康」では,心臓の外科手術の模様が動画で紹介され,参加者の興味を惹いていた.さらに詳しい原因は不明としながらも,「心臓病患者には歯の悪い方が非常に多い」との体験を交え,大和成和病院ではおよそ25%の患者の冠状動脈壁などから歯周病原因菌が検出されたと発表し,会場を驚かせた.
 太田嘉英先生による基調講演「健康なお口でしあわせな生活――むし歯から口腔がんまで,知っておきたいお口の病気」では,QOL向上のために注意すべき疾患として,口腔がん,誤嚥性肺炎,骨粗鬆症の3つを挙げ,それぞれの症状や治療方法などがわかりやすく解説された.そのうえで,健康な歯が多数残存している患者は手術後の機能回復も良好であると述べ,口腔清掃や口腔ケアの大切さを繰り返すとともに,疾患そのものの予防にも役立つと訴えた.
 会場は1階席が満員になるほどの盛況であり,ユーモアを交えた演者の先生方の語り口に時折どっと笑いが沸き起こる,和やかな雰囲気であった.参加者にとっては,「充実した人生を送るための数多くのヒントが口腔内に存在する」ことを学ぶきっかけになり,非常に有意義な場となった.

(2010.12.10)

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