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神奈川県民の歯・口腔の健康づくり推進条例(仮称)骨子案に対する意見交換会の様子.円内左は宮坂宗行常務理事(神奈川県歯科医師連盟),右は宮武光吉氏(歯科医療研修振興財団). |
去る9月21日,横浜市の神奈川県新庁舎8階大会議室において,制定を目標にしている「神奈川県民の歯・口腔の健康づくり推進条例(仮称)」骨子案に対し,意見交換会が有意義に開催された.本会には,かながわ自民党歯科保健・医療推進議員連盟をはじめとする県議会議員や,神奈川県歯科医師会や神奈川県歯科医師連盟をはじめとする関係諸団体の代表者が出席し,さまざまな立場から活発な意見が述べられた.歯科医療研修振興財団の宮武光吉氏によれば,歯・口腔の健康づくり推進条例(歯科保健推進条例)は2008年7月に新潟県で制定されたのが最初であり(『日本歯科評論』2010年4月号を参照),これまでに北海道や長崎県など9道県で制定されている.
骨子案の説明で,神奈川県歯科医師連盟の宮坂宗行常務理事(歯科保健条例制定プロジェクトチーム)は以下の3点を特に強調した.
①神奈川県民の“すべてのライフステージ”にわたる歯・口腔の健康づくり
(生涯にわたる包括的な施策よりも,各ライフステージの特徴に合わせたきめ細やかな施策を実行すること)
②すべての県民が“平等”に分け隔てなく歯科保健医療を受けられること
(県条例の特色である「神奈川らしさ」を盛り込む)
③県民がみずから“自発的に”歯・口腔の健康づくりに努めること
(県は保健医療連携を奨励し,県民が主体的に参画できるような対策を講ずる)
しかし,懸念される問題として,政令指定都市の扱いを挙げる参加者が目立った.神奈川県は全国最多の3つの政令指定都市(横浜市・川崎市・相模原市)に加えて,2つの保健所政令市(横須賀市・藤沢市)を有し,県民のうち実に6割以上が政令市民である.神奈川県歯科衛生士会の堀 正子会長によれば,たとえばフッ化物の対応ひとつとってもその方向性にかなりの差があるようで,改めて各市町村との綿密な協議の必要性が確認された.また,神奈川県歯科技工士会の伊集院正俊会長からは,トレーサビリティーの観点から,感染症の防止や個人識別のために歯科技工物へ刻印が可能となるような内容を盛り込んでほしい,との要望が述べられた.
なお,今後の予定としては,10月21日に静岡県で開催される現場研修会への参加や,県民意見の集約および各市町村との協議を経て,来年2月の神奈川県議会定例会での提案を目指している.
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