|
 |
|
「歯科界が抱えているさまざまな課題を解決するためには,国民から歯科医療の重要性についてきちんと理解を得ることが何よりも必要」と挨拶する大久保満男会長(円内左).円内右は来賓として挨拶した西村まさみ参院議員. |
日本歯科医師会は9月9・10日の両日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において第166回代議員会を開催した.大久保満男会長は冒頭の挨拶で,7月28・29日に行われた役員合同勉強会で取りまとめられた「宣言」について触れ,「歯科医療・歯科保健活動の両面から高齢者の生活を支え,平均寿命と健康寿命の差を縮めたい.また,医療によって介護を支えられるような制度改革を行い,平成24年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に臨みたい」と述べ,今後の方針を示した.
来賓には,石井みどり参院議員(自民党),大久保潔重参院議員(民主党),川口 浩衆院議員(民主党)水野智彦衆院議員(民主党),西村まさみ参院議員(民主党),堤 直文日歯連盟会長らが出席した.その中で,先の参院選で初当選した西村まさみ議員は「歯科界全体の底上げをし,安定した経営基盤のもとで国民に最良な歯科医療が提供できるよう活動する」と述べた.
続いて,一般会務,社会保険関係,会計現況の各種報告が行われ,議案審議に入った.審議では平成21年度の会計歳入歳出決算など5つの議案が上程され,すべて執行部提案どおり可決された.
その後,各地区代表事前質問と個人事前質問が行われたが,質問の一覧は下記のとおり.
○地区代表事前質問の一覧
東海・信越地区「今後の診療報酬体系の在り方について」
北海道・東北地区「消費税 ゼロ税率ないし軽減税率実現への道」
九州地区「日本歯科医師会の戦略について」
近北地区「政府の『医療生活産業』構想に対する日歯の見解について」
東京地区「歯科医療安全の課題について」
関東地区「会員の減少,高齢化にどう対応するか」
中国・四国地区「レセック導入時の都道府県歯科医師会の関与について」
○個人事前質問の部門ごとの一覧
情報管理・調査関係……1問,医療管理・税務関係……4問,厚生・会員関係……3問,
広報関係……3問,学会関係……4問,医療保険・制度関係……8問,
中医協・診療報酬関係……4問,地域保健・産業保健関係……6問,歯科医師需給関係……1問
地区代表事前質問と個人事前質問の中から一部を抜粋して概要を紹介する.
今後の診療報酬体系の在り方について(東海信越地区代表:三重県/芝田憲治代議員)
平成23年4月からの電子請求の原則義務化に伴い,明細書の発行が義務化されるが,現行の複雑化した診療報酬体系では明細書の内容が患者にとって難解である.限られた診療時間内で「患者が治療内容を理解し,納得するための明細書」として的確に機能するために必要な診療報酬体系の在り方について,執行部の考えを伺いたい.
渡辺三雄常務理事:算定内容については患者が疑問に感じるケースもあり,次期改定に向けて,国民歯科会議などの幅広い意見をふまえ対応したい.
診療報酬請求の手引書等の発行について(埼玉県/谷野日出人代議員)
社会保険診療報酬支払基金が発表した平成21年度の審査状況によると,歯科の原審査の査定率は件数で8倍,点数では18倍もの格差が生じている,との報告があり,その原因は各地域における審査基準の相違によるものと思われる.こうした原因の究明には,全国的に解釈を統一したマニュアル書を日歯が発行することが最適であると考えるが,執行部の意向を伺いたい.
渡辺三雄常務理事:査定率の格差を点数に置き換えると0.8%であり,その差は地域間における審査基準の相違であると認識している.平成20年度,22年度の改定で該当するケースもふまえ,検討したい.
口腔がん,口腔粘膜疾患検診の普及に向けて(群馬県/永山礼久代議員)
各地区において口腔がん検診の実施がなされており,群馬県においても「口腔粘膜検診」等の調査・企画を行っている.しかし,地域完結型のためデータが標準化できず,全国で統一したデータがない.そのため,日本歯科医学会の平成21年度総合的研究推進費課題の一つである「口腔がん・口腔粘膜疾患検診の普及とその標準化の構築」を参考にしたいが,その研究報告はいつ,どのような形式で発表がなされるのか.
江里口 彰常務理事:研究報告に関しては,平成23年3月発行の歯科医学会誌に掲載予定である.あわせて,臨床にも応用可能な検診スタイルの構築を要望している.
2日目には,福祉共済制度や会員種別に関する協議がなされたほか,平成22年度日本歯科医師会会員有功章授賞式が行われた.受賞者は以下のとおり(敬称略).
○会員有功章授賞規則第4条第1項第一号該当
・松澤郁子(長野県・80歳)
・比嘉宗安(沖縄県・74歳)
○会員有功章授賞規則第4条第1項第三号該当
・和田明人(徳島県・65歳)
・秋山保之(高知県・66歳)
・福島善彦(高知県・63歳)
・高松平人(大阪府・71歳)
|