平成24年度の同時改定に向けて日歯が役員合宿勉強会を開催

 
 


大久保満男会長は「“治す”という考えだけでは介護と連携できない」と述べ,これからは“治し,支える医療”が必要だと訴え,歯科医療が健康寿命の延伸ならびにQOLの向上・維持に貢献できると主張した.
日本歯科医師会(大久保満男会長)は7月28・29日の両日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において役員合宿勉強会を開催した.合宿勉強会は大久保執行部発足時に第1回,一昨年に口腔保健法(仮称)について議論するため第2回を,そして今回で3回目の開催となる.今勉強会では「地域における医療と介護の一体的提供・歯科の役割――平成24年 診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて」をテーマに,歯科では在宅医療がなかなか進んでいない現状に鑑み,「何が障壁となっているのか」の視点を軸に議論した(大久保会長).勉強会には日本歯科医師会役員をはじめ,日本歯科医師連盟,日本歯科医学会,日本歯科衛生士会,さらに日本歯科商工協会など,多数の関係者が参加し,活発な議論が行われた.

医療・介護同時改定へ向けて「宣言」を取りまとめ
 勉強会一日目は,宮島俊彦先生(厚生労働省老健局長)や三上裕司先生(日本医師会常任理事)が高齢者医療や介護の現状について講演.その後,石井拓男先生(日本歯科総合研究機構研究部長),角町正勝先生(日本歯科医師会理事)らが在宅歯科医療の現状や課題について解説し,以下の4つのグループに分かれてディスカッションを行った.

 ①医療・介護のあり方(制度・システム):リーダー/角町正勝先生,②多職種連携のネットワーク:リーダー/森岡俊介先生,③診療報酬と介護報酬:リーダー/堀 憲郎先生,④担い手の育成と研究開発:中尾 薫先生
 また,その後には辻 哲夫先生(東京大学高齢社会総合研究機構教授)と大島伸一先生(国立長寿医療研究センター総長)が,社会保障や多職種連携の実際について講演した.
 二日目には4つのグループがそれぞれ取りまとめを行い,以下のような「宣言」をまとめた.


1.基本的な考え方
 (1)歯科保健・医療により,口腔機能の回復・維持を図り,食べる,会話する等,高齢者の営みや社会性を確保する.
 (2)誤嚥性肺炎などの感染症の予防,低栄養の改善など,全身の健康度を高め,介護度の軽減に寄与する.

2.目標
 (1)要介護者を含め,病院・施設・在宅等の患者に対して,切れ目のない歯科医療の体制を推進する.
 (2)在宅歯科医療の実施率(件数,歯科医師数)を向上させるための環境を整備する.
 (3)専門分化した医療の中で,食を支える総合的視点に立った新たなる歯科医療のあり方を確立する.

 上記を基に,今後は関係各省庁をはじめとする外部に介護現場での歯科医療の重要性を訴えるとともに,歯科界を挙げて訪問歯科医療を推進していくために制度改革,人材の育成,在宅医療技術・機器の開発に努めていくという.



(2010.08.02)

>>> 戻る