厚労省が省内事業仕分けを実施――「社保診療報酬支払基金」を仕分け

 
 


第1回ということもあり,多くの傍聴者・マスコミが詰めかけた「厚生労働省省内事業仕分け」.出席した長妻 昭厚生労働大臣は「初めての試みのため試行錯誤の面もあるが,今後も継続して行っていきたい」と,今年限りではなく恒常的な事業として取り組む意向を示した.
23日から政府の行政刷新会議による事業仕分けが行われるが,それに先立ち厚生労働省は12日,同省独自による事業仕分けを開催した.これは行政刷新会議における事業仕分けの対策として行うのではなく,同省が自ら改革を実施するために行うもの.第1回となる今回は「独立行政法人雇用・能力開発機構」「社会保険診療報酬支払基金」について議論が行われ,民間の有識者である仕分け人から様々な意見が出された.

社会保険診療報酬支払基金はさらなるコスト削減を
 社会保険診療報酬支払基金については,8日から同省において「審査支払機関の在り方に関する検討会」が立ち上げられ,すでに議論が始まっているが,今回の仕分け人からもコスト削減に対する厳しい意見が出された.特にレセプトオンライン化に関する意見について議論が集中し,「オンライン化によって,もっと人員・経費削減ができるのではないか」「オンライン化に受け身の姿勢ではなく,より効果を高めるための方策を支払基金側も考えるべきではないか」といった意見が相次いだ.しかし,支払基金側もオンライン化による業務効率化を反映し,「900人の職員定数削減を改革案に盛り込んでいる」と反論.議論は平行線を辿った.
 最後に,各仕分け人から評価が下され,「完全レセプトオンライン化の早期達成」「査定率の地域格差是正」「一部業務の民間委託による競争原理の導入」「支払基金と国保連の統合の検討」といった改革案が示された.しかし,これらは最終的な決定とはならず,これらの議論を踏まえて政務三役で検討し,厚労省としての意見を取りまとめる.

(2010.04.15)

>>> 戻る