社会歯科学研究会が「歯科保健条例」をメインテーマに秋期研修会を開催

 



初日に行われたシンポジウムとグループワークの様子から.
グループワークにおいては,各地域の現状から考えられる条例の有用性等について積極的に検討がなされ,条例の制定にむけて意識の高さが窺えた.
 「歯科界を取り巻く諸事情の実態を把握し,分析し,問題解決と提起を行う研究会」として,平成19年に設立された社会歯科学研究会(坂井 剛会長)の秋期研修会が,岐阜県歯科医師会(高木幹正会長)との共催で,去る11月14・15日の両日,岐阜県歯科医師会館において開催された.研修会のメインテーマは「『歯科保健条例』を考える」で,14日には,新潟県・北海道で制定され,岐阜で策定中である歯科保健条例についてシンポジウムを行い,これを受けて歯科保健条例による「メリット」と「策定に向けたハードル」をグループワーク形式で検討した.翌15日には前日のグループワークの発表と総括,ディスカッションが行われた.
 シンポジウムではまず,「新潟県歯科保健推進条例」制定の経緯と意義,そして条例制定後の活動について新潟県福祉保健部健康対策課の清田義和先生と新潟県歯科医師会常務理事の佐藤 徹先生から解説・報告がなされた.続いて,「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」について北海道歯会副会長の川原敏幸先生と北海道保健福祉部福祉局高齢者保健福祉課の秋野憲一先生による解説・報告がなされた.策定中である「岐阜県口腔保健推進条例(仮称)」に関しては,岐阜県歯科医師会情報調査室理事の澤田勝範先生が,地域的特徴などを踏まえての報告を行った.
 グループワークでは参加者全員が6つのグループに分かれ,新潟県・北海道の事例,岐阜県やその他の地域の取り組み方の実際を情報交換し合いながら,そのメリット,また地域の実情に見合った策定のプロセスなどについて話し合い,翌日のグループワーク発表で紹介した.そして社会歯学研究会副会長である石井拓男先生(東京歯科大学教授)が総評を行い,行政部門に歯科の関与が少なすぎた歴史をふりかえりながら,歯科保健条例の意義を再確認した.会の最後には,13日に行政刷新会議で審議された8020運動特別推進事業の措置や,この事業に関連する各県などの取り組み状況に関する意見が取り交わされた.

 社会歯科学を専門とする教育・研究機関,歯科医師会等の医療現場,さらに行政領域の関係者が一堂に会し,地方行政レベルで歯科保健・口腔保健施策を実施するにつき活発な情報交換が行われた今回の秋期研修会は,参加者にとって有意義な会となったに違いない.本会の具体的な内容については,月刊『日本歯科評論』の明年4月号にて,シンポジウムを中心に紹介する予定である.


(2009.11.26)

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