11月の日歯定例記者会見より

 


大久保満男会長に代わり挨拶に立った宮村一弘副会長(円内)は,診療報酬改定について「現在よりも高い改定率を獲得しなければならない」とし,「要望を通すため,与党である民主党との“より強いパイプづくり”が必要」と述べた.
 日本歯科医師会は11月19日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例記者会見を開催した.今回の記者会見では,民主党副幹事長で厚労省担当に就任した青木 愛衆院議員との面談のため,大久保満男会長,近藤勝洪副会長が欠席した.代わりに宮村一弘副会長が冒頭の挨拶を行い,現状での最重要課題として平成22年度の診療報酬改定についての対応を挙げた.そのほか,11月11日より進行中である行政刷新会議WGによる「事業仕分け」での8020運動特別推進事業に対する評価や「中医協・医療経済実態調査」に対する日歯の見解などについて,以下のような発表がなされた.

「中医協・医療経済実態調査」に対し日歯が見解を発表
 6月に実施された「第17回中医協・医療経済実態調査」の結果に対して日歯が今月18日に中医協へ提出した見解によると,今年初めて実施された年間調査などの報告から,現状では「歯科における経営の合理化や経費削減の努力が限界に達していることは明白」と指摘.「歯科診療報酬体系の機能的な改善と強化が必要不可欠であり,適切な評価と十分な財源の確保が求められる」とした.
また,11月16日の社会保障審議会医療部会において資料として配布された「平成22年度診療報酬改定の『視点等』と『方向』について」の中で,歯科医療の充実や在宅歯科医療の推進が盛り込まれたことについて,渡辺三雄常務理事は高く評価した.

口腔ケアとインフルエンザ対策の研究を開始
 日歯ではすでに「口腔管理(口腔ケア)とインフルエンザ対策・研究会議」(仮称)を立ち上げているが(ヒョーロン・ニュース「8月の日歯定例記者会見より」参照),その研究内容の大枠として基礎(実験系)と疫学(口腔ケアとインフルエンザ研究班)の2つに大別し,さらに基礎においては2班,疫学においては3班の研究グループの設置が発表された.また,疫学調査の結果に関連して,最終的な目的に「口腔ケアによる呼吸器感染症の発症防止」を挙げた.
 なお,同研究は新型インフルエンザの感染がピークとなる1月末までには報告を終了したい考えだが,「おそらく,それ以降の第2波が広がる時期に合わせての報告になると思われる」(山科 透副会長)との予定が示された.

8020運動特別推進事業「事業仕分け」の評価について
 行政刷新会議WGによる「事業仕分け」で8020運動特別推進事業が「見直し」という評価を受けたことに関して,「日歯および都道府県歯科医師会などを通じての8020運動の従来の成果が理解されたことによる評価」と前向きな見解を示した.また,総務省の税制改正の査定原案の中で社会保険診療に関わる事業税の課税について「抜本的な見直しがない限り容認できない」とされたことに対しては,「従来よりも危機感をもって連盟と連携して対応していく」とした.


(2009.11.26)

>>> 戻る