10月の日歯定例記者会見より

 


民主党との関係について大久保満男会長(円内)は,「論理に基づいて,今までと変わらずに歯科医療の必要性を主張していきたい」と述べた大久保満男会長(円内).
 日本歯科医師会は10月22日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例記者会見を開催した.会見では,一般紙などで大久保満男会長と小沢一郎民主党幹事長が会談したことが報道されたこともあり,民主党との関係についての話題が多かった.

民主党小沢幹事長と会談
 10月7日に民主党本部において,小沢一郎民主党幹事長と大久保会長,堤 直文連盟会長による会談が行われた.これについて大久保会長は,「約40分間の会談だったが,ほとんどの時間は歯科医療の現状を説明することに費やし,ロジカルな議論ができた」と感想を述べた.また,小沢氏については「歯科医療について非常によく勉強されている」と高く評価した.

インフルエンザワクチン 歯科医師優先接種を要望
 10月19日から新型インフルエンザワクチンの医療従事者優先接種が始まっているが,歯科医療従事者は基本的にはその対象外となっている.その根拠として厚生労働省は,「新型インフルエンザワクチンは,感染予防や流行の阻止等に対して効果が保証されるものではなく,重症化や死亡の阻止について一定の効果が期待されるものであるから」と表明している.つまり,新型インフルエンザ治療の第一線に立つ内科医や小児科医等が治療の現場に立てなくなることを防ぐための優先接種である.日歯はこれを「認めざるを得ない」としているが,感染危険度の高い歯科医療従事者も優先対象とするよう引き続き要望していく.

代替材料部会ワーキンググループを設置
 平成20年9月に厚生労働省が発表した「新医療機器・医療技術産業ビジョン」を受け,広く新たな歯科医療技術の展開を推進するため,日歯では今年4月に歯科医療機器委員会を設置している.同時に,各分野の特性に合わせた具体的検討を進めるため,同委員会内に(1)体外診断薬部会,(2)代替材料部会,を設置しすでに作業が開始されている.そして今回,業界における開発の推進を目的として,代替材料部会の傘下に「代替材料部会ワーキンググループ」を設置し,新規材料の“基準”作成の具体的検討を進める.

警察歯科医研修会アドバンストコースを実施
 日歯ではこれまで,より多くの歯科医師が警察歯科医として貢献できるよう,資質向上を目的として研修会を実施してきたが,平成21年度は一層のレベル向上を図るべく「アドバンストコース」として実施する.この背景には今年度,新たに歯牙鑑定謝金(国費)が整備されたことがあり,今後は鑑定嘱託書による鑑定依頼の割合が増し,それにともない鑑定嘱託書の作成が義務付けられることがある.
 研修会の日時は12月5日(土)午後2時〜午後5時30分.対象は各都道府県歯科医師会の推薦による警察歯科活動等経験者(協力医も含む)で,場所は歯科医師会館1階.問い合わせ先は日本歯科医師会庶務課(Tel:03-3262-9321)まで.

 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.

Q. 23日の日歯連盟理事会で来年の参院選の対応が決まる予定だが,大久保会長の参院選に対する考えは?
A. 難しい質問だが,選挙は一切やらないと決めてしまうと,連盟の存在意義がなくなってしまう.参院選から撤退するとしても「撤退」の定義を決めないといけない.どちらにしろ,連盟の活動をあまり束縛してしまうよりは,選択肢を残しておいたほうがいいのではないか.
Q. 鳩山由紀夫総理に会う予定はあるのか?
A. 総理に会うには三師会一緒のほうがいいと考えているが,日歯として「会いたい」という要望は出している.
Q. 来年度の歯科保健医療対策関係予算が,8月の時点から2,500万円カットされているが?
A. 行政刷新会議により,歯科だけでなく全体的に予算が削られている現状で,歯科だけ満額というのは難しい.それでも前年度よりは増えているので,我慢するしか仕方がない.
Q. 診療報酬改定の概算予算要求は,金額を盛り込まない事項要求となっている.中医協も1カ月近く空転しており,次年度の診療報酬改定の見通しは?
A. 民主党の診療報酬改定に関する進行手順が,まだ見えていない.日歯としては「8020運動」に基づく歯の保存,咬合崩壊した人への義歯を中心とした補綴,要介護高齢者への在宅歯科診療などへの点数を主張していきたいが,どこでどう訴えるべきかが見えてこない.早めに進行手順を示してもらいたい.


(2009.10.26)

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