日歯が第164 回代議員会を開催

 


「民主党には政治家としての決断力と実行力を求めていきたい」と話す大久保満男会長.
 日本歯科医師会は9月10・11 日の両日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において第164 回代議員会を開催した.冒頭の挨拶に立った大久保満男会長は,「新たな政権が誕生するが,自民党であろうと民主党であろうと歯科界は変わらず国民のための歯科医療を主張していく」と述べ,政権与党となった民主党とは今後さまざまな議案について協議を重ね,新たな信頼関係を築いていきたい,と話した.
 来賓として,島田智哉子参院議員(民主党),石井みどり参院議員(自民党),大久保潔重参院議員(民主党)のほか,8 月の総選挙で当選した川口 浩衆院議員・水野智彦衆院議員(共に民主党で,歯科医師)も出席し,挨拶がなされた.その中で島田智哉子議員は,社会保障費2,200 億円削減の撤回や歯科検診の充実,疾患予防のための取りまとめに取り組んでいくことを述べ,「衆参協力して歯科医療充実に対応していきたい」とした.石井みどり議員は,「総選挙では会員の皆様から大きなご支援を頂戴したことにお礼申し上げる.残念な結果に終わったが,野党となっても変わらず歯科医療の発展に寄与していくとともに,正当な歯科医療の評価のため与野党ともに協力していきたい」と述べた.他の議員からも歯科界のため尽力をつくしたいとの決意が表明された.
 続いて,一般会務,社会保険関係,会計現況の各種報告が行われた後,議案審議に入った.平成20 年度の会計歳入歳出決算など7 つの議案が上程されたが,すべて執行部提案どおり可決された.

 その後,各地区代表事前質問と個人事前質問が行われたが,質問の一覧は下記のとおり.

○地区代表事前質問の一覧
 北海道・東北地区「レセプトオンライン請求,特に義務化撤廃と代行請求について」
 近北地区「次期診療報酬改定に向けて」
 関東地区「日歯福祉共済制度について」
 中国・四国地区「『歯科疾患の予防等による口腔の健康の推進に関する法律(口腔保健法)』について」
 九州地区「フッ化物応用推進に係る都道府県条例等について」
 東京地区「未入会者対策について」
 東海・信越地区「歯科医療費のあるべき姿の評価について」
○個人事前質問の部門ごとの一覧
 中医協・診療報酬関係……9問,医療保険・制度関係……5問,地域保健・産業保健関係……4問,歯科医師需給
 関係……5問,学術・生涯研修・国際渉外関係……2問,情報管理・調査関係……1問,医療管理・税務関係……
 6問,厚生・会員関係……1問,広報関係……2問,その他……6問
 
 地区代表事前質問と個人事前質問の中から一部を抜粋して概要を紹介する.

レセプトオンライン請求,特に義務化撤廃と代行請求について(福島県/柳田教夫代議員)
 レセプトオンライン化にあたり「高齢で後継者がいない」「パソコンが苦手」などの理由で対応できない会員がいる.
日歯はあくまでも義務化撤廃を掲げているが,その一方で義務化となった場合の対応策についても着々と話が進んでおり,会員は疑問を抱えている.義務化となった場合,はたして手挙げ方式,代行請求ができるのか,日歯の見解を聞きたい.
 近藤勝供副会長:義務化には反対しているが,オンライン化には反対していない,というのが日歯の考えである.これまで三師会とともに義務化撤廃は可能であると考え,その方策を模索してきたが,現在は停滞している.また,『民主党政策集INDEX2009』では,完全義務化から“原則” 義務化と改められており「医療現場の混乱や地域医療の崩壊が起こらないようにする」とある.しかし,その詳細についてはまだ明確ではない.民主党による閣僚人事が決定した後,三師会で話し合っていきたい.また,来年の4月を目途に完全義務化を見越しての代行請求ソフトが完成する予定.費用などの諸問題もあるが,今後さらなる検討を進めていきたい.

日歯福祉共済制度について(山梨県/三塚憲二代議員)
 公益法人化に向けた日歯福祉共済制度について,日歯は適用除外の道を探っているが,その可能性はほとんどないと思われる.もし,適用除外とならなかった場合の対応策が見えてこない.(公益法人化する)平成25 年までの工程について教えてほしい.
 日高潤二常務理事:日歯福祉共済制度に関しては最重要課題と捉えている.行政当局の担当者からは適用除外にある程度の理解を示してもらえているが,実現には至っていない.また,廃案となったが今年6 月に民主党から保険業法の改正法案が提出されており,それは福祉共済制度の自主運営も考えられる内容である.政権が変わり不明確な部分が多いが,平成23 年(明後年)3 月の代議員会までには福祉共済制度に関する議案を上程したい.

未入会者対策について(東京都/浅野紀元代議員)
 未入会者対策については各都道府県郡市区歯科医師会ごとに検討していると思われるが,これからは日歯主導で真剣に取り組んでいく問題ではないかと思われる.会員を増やし組織力の強化を図ることで,公衆衛生などの対外的なPR 活動も幅広く行うことができ,ひいては国民の健康に寄与すると考える.日歯では未入会者についてどのような対策を検討しているか,具体的に教えてほしい.
 大久保満男会長:(死亡会員も含めて)退会者数が入会者数を上回っており,危機感をもっている.日歯としては,入会金をゼロにしたり,入会することへのメリットをアピールするなどの対策をとっているが,日歯自体は未入会者と直接コンタクトを取ることができないため,同窓会,勉強会などの機会を捉えて,会員がそのメリットを伝えていってほしい.また,これからは状況や立場(共に歯科医師の夫婦や研修医など)に合わせた種別を作って選択肢を増やし,入会しやすい状況を整えていきたい.

 また,2日目には平成21 年度日本歯科医師会会員有功章授賞式が行われた.受賞者は以下のとおり(敬称略).

○会員有功章授賞規則第4条第1項第一号該当
・神元繁一(沖縄県・69 歳)
○会員有功賞授賞規則第4 条第1 項第三号該当
・松井成一(滋賀県・69 歳)
・米碕穰二(徳島県・64 歳)
・四元 貢(鹿児島県・72 歳)
・松田 毅(大阪府・69 歳)
・小笹勝利(福岡県・65 歳)
(2009.9.16)


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