日本歯学系学会協議会が歯保連を設立

 


歯保連設立の経緯を説明する今井 裕会長(円内).今井会長は,日本歯科医師会や日本歯科医学会と対立するつもりはないことを繰り返し強調し,「政治的な考えもまったく持っておらず,ひたむきに真摯に活動していくことで,理解を得たい」と語った.
図1 歯保連参加学会一覧(敬称略).各学会の社会保険委員長が代表者に名前を連ねている.
  図2 歯保連の理念,目的と基本方針.
  図3 歯保連の平成21年度活動計画.
 74の学会で構成されている日本歯学系学会協議会(赤川安正理事長)は,加盟各学会の連携と協力によって運営され,歯学の学術研究に関する諸問題に対して協議し必要な提言を行うとともに,日本学術会議における審議等にも積極的に協力することによって歯学の学術研究の推進と普及を図っている.
 その協議会が8月17日,歯学系の27学会(図1)により歯学系学会社会保険委員会連合(以下,歯保連)を設立した.医科では,適正な診療報酬体系を構築するために外科系学会社会保険委員会連合(外保連),内科系社会保険委員会連合(内保連)が組織されており,歯科においても学術的研究や社会経済情勢を鑑みた,国民の健康を中心に考える歯科系診療報酬体系の構築を目指すために組織されたもので,歯保連の理念や基本方針(図2),今後の活動などを解説するため9月11日,東京都中央区の八重洲倶楽部において説明会を開催した.

歯保連独自に試案を作成
 歯保連は,平成21年度活動計画(図3)のひとつに「現在の歯科診療報酬の評価項目の代表例をいくつか選び,それらの歯保連試案の作成」を挙げている.これは,歯科治療における「時間」「技術」「モノ」を適正に評価するため,科学的根拠に基づいたデータを示し,診療報酬に反映させることを目的としており,試案は厚労省に「要望書」として提出する.また,日本歯科医師会ならびに日本歯科医学会にもデータを提供し,有効利用を目指す.今井 裕会長(獨協医科大学教授)は「歯科医療を“業”としている日本歯科医師会や日本歯科医学会が作成したデータでは,厚労省や国民から理解を得られにくい」として,エビデンスに基づいた客観的なデータを示すことで歯科医療への理解を得たいとした.試案は次期改定(平成22年度)には間に合わないが,その次の平成24年度改定には一定のデータを提出したい考え.

 そのほか,記者と以下のような質疑応答が行われた.回答はすべて今井会長.
Q. 27学会の参加基準は?
A. 基準はない.参加を希望していただいた学会は,すべて参加を認めている.現在も参加を検討中の学会が複数あり,今後も増えると思う.
Q. 日本歯科医師会の理解を得られているか?
A. 8月12日に大久保会長に挨拶に行った際,少なくとも「反対」とは言われていない.私としては,理解を得られたものだと理解している.歯保連は日本歯科医師会と対立するものではなく,試案を日歯や日本歯科医学会が利用してくれてもよい.
Q. 厚労省と直接交渉することも考えているか?
A. 将来的には,直接交渉したいと考えているが,すぐには無理なので地道に活動し,国民からの理解を得たい.
Q. 今井会長就任の経緯は?
A. 日本医学会の分科会である日本口腔科学会の理事を務めているため,外保連への理解が深いという理由で会長に選任された.今後,副会長などを選任していく予定.
(2009.9.16)


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