3月の日歯定例記者会見より



大久保満男会長(円内)は23日,自民党の社会保障制度調査会医療委員会「歯科診療に関するプロジェクトチーム」に出席し,歯科医療の目的と意義を主張し,歯科医療の問題点を訴える.

 日本歯科医師会は3月22日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催した.会見では,先の第158回代議員会において設置が了承された「日本歯科総合研究機構」の研究員などが発表された.

研究機構研究部長に石井拓男氏
 日歯は,「日本歯科総合研究機構」の人事について発表をし,研究機構長に箱崎守男副会長,研究部長に石井拓男氏(東京歯科大学教授),そして常勤の研究員として恒石美登里氏(岡山大学大学院助手)の就任が決まった.選考理由について大久保満男会長は,「石井先生は,厚労省の歯科医療管理官,歯科衛生課長(厚生省当時)の経験があり,医療制度改革の流れをよくつかんでいる」と解説.恒石氏については,「他にも候補者はいたが,(現職を)辞めてまでやりたいという方は恒石先生だけだった」と,その熱意の高さを評価したという.
 これにより4月から,石井拓男氏は研究部長(非常勤)として研究の現場監督的役割を果たす.恒石美登里氏は,岡山大学大学院の職を辞し,常勤研究員として日歯会館内で週5日勤務する.任期は4月から2年だが,その後の任期延長は研究の成果による.
 なお,常勤研究員をプラス1人(できれば公募方式),アドバイザーとして協力研究員(医療経済学者など)を任命したい考え.

「歯科診療ガイドラインのあり方についての基本的な考え方」
 現在,学会において歯周病と補綴関係の歯科診療ガイドラインの改定作業が行われている.そこで,ガイドラインに対する日歯の基本的な考え方について,発表がなされた.その概要は,
(1) 総合的な視点に立って歯科医療を考え,診療ガイドラインを設定することが重要である.そして,総合的な歯科医療とは,患者のライフステージや生活・社会的環境,心身の機能等の状況を総合的に把握して患者の診療にあたることであり,さらに各専門分野の知識と技術が総合的に補完しあった治療を行うことである
(2) 個々の歯牙は(その周囲の歯周組織も付随的に)独立した組織であると同時に,相互に関連した器官として成り立っている.治療にあたっては,基本的には各歯牙はそれぞれに独立した治療の対象であるが,一口腔単位あるいはブロック単位を考えて対処することもまた必要である
(3) 診療ガイドラインの活用においては,常に「歯科医師は正当な事由がなければ,患者からの治療の求めを拒否してはならない」(歯科医師法第19条,応急の義務)の遵守を念頭において診療にあたらなくてはならない
(4) 診療ガイドラインは,保険診療上の臨床に関わるものであり,その大筋を示すものである.臨床においては,患者の個々の状況と求めに応じた治療方法を主治医の歯科医師の裁量と患者の同意によってこれを選択し,ガイドラインに沿いつつも,幅と奥行きを持った“ガイドゾーン”といった中で診療が行われることとなる
(5) 診療ガイドラインはあくまでも現時点におけるものである.決して固定的なものではなく,歯科医学の進歩と社会状況の変化に即して変更されるとなっている.

広報活動 次々と展開
 日歯は平成19年度の対外PRキャラクターとして「よ坊さん」(電通との契約の関係で4月から公開できる)を制作したことを発表した.電通などと協力して制作したもので,日歯のHP(4月開設)などで活用していく.さらに,予算内で同キャラクターのグッズなどを作製する予定.
 また,6月半ばには新聞広告を予定しており,現在デザインなどを検討中であるという.大久保会長は「最近テレビなどのマスメディアに歯科がよく取り上げられており,口腔の大事さが少しずつ国民に広まってきているのではないか」との感想を述べた.


(2007.03.28)
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