(1) |
総合的な視点に立って歯科医療を考え,診療ガイドラインを設定することが重要である.そして,総合的な歯科医療とは,患者のライフステージや生活・社会的環境,心身の機能等の状況を総合的に把握して患者の診療にあたることであり,さらに各専門分野の知識と技術が総合的に補完しあった治療を行うことである
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(2) |
個々の歯牙は(その周囲の歯周組織も付随的に)独立した組織であると同時に,相互に関連した器官として成り立っている.治療にあたっては,基本的には各歯牙はそれぞれに独立した治療の対象であるが,一口腔単位あるいはブロック単位を考えて対処することもまた必要である
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(3) |
診療ガイドラインの活用においては,常に「歯科医師は正当な事由がなければ,患者からの治療の求めを拒否してはならない」(歯科医師法第19条,応急の義務)の遵守を念頭において診療にあたらなくてはならない
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(4) |
診療ガイドラインは,保険診療上の臨床に関わるものであり,その大筋を示すものである.臨床においては,患者の個々の状況と求めに応じた治療方法を主治医の歯科医師の裁量と患者の同意によってこれを選択し,ガイドラインに沿いつつも,幅と奥行きを持った“ガイドゾーン”といった中で診療が行われることとなる
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(5) |
診療ガイドラインはあくまでも現時点におけるものである.決して固定的なものではなく,歯科医学の進歩と社会状況の変化に即して変更されるとなっている.
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