2014年SCRP日本代表は昭和大・道家 碧さんに決定!!

 
表彰後,参加者全員の前でプレゼンテーションを行う道家 碧さん(内容は抄録を参照).
発表と質疑応答はすべて英語で行われる.なお,質問しているのはデンツプライ・インターナショナル・インクのテレサ・ A・ドラン副社長.
 今年で第20回を迎えた日本歯科医師会/デンツプライ「スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)」の平成26年度日本代表選抜大会が,去る8月20日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館にて開催された.本プログラムはポスタープレゼンテーションで研究成果を競い合うが,本年度は過去最多の28名(28校)が参加.審査の結果,昭和大学歯学部6年生・道家 碧さんが優勝し(ファカルティー・アドバイザー:桑田啓貴教授・深町はるか助教),日本代表として,10月9日から米国・テキサス州サンアントニオ市で開催されるADA/SCRP大会で各国の代表と共に発表を行う.
 また,今年度は20周年記念大会として,SCRPの同窓会組織であるSCADA Associates in Japanのメンバーである奥村 哲先生(第1回共同研究者/第2回スチューデント・クリニシャン),岸本知弘先生(第6回スチューデント・クリニシャン),中富満城先生(第6回スチューデント・クリニシャン)による特別発表が行われ,続けて特別講演を行った大久保満男日歯会長は「これからの歯科界の未来を担う学生たちが,多くを学び研究できるよう,歯科医師会として精力的にサポートし,来年は全国の歯科関連大学29校すべての参加を目標に活動を続けたい」と語った.表彰式では特別ゲストプレゼンターとして女優の大地真央さんが登壇し会場を湧かせた.表彰式後の懇親会では,第1回大会優勝者である黒田俊太郎先生による挨拶など,記念大会にふさわしい熱気溢れる大会となった.なお,上位入賞者一覧を以下に示す.

第20回SCRP
日本代表選抜大会・上位入賞者

●基礎部門1位 優勝
 道家 碧さん(昭和大学歯学部6年生)
 研究テーマ:歯周病原細菌の産生するヌクレアーゼの解析

●臨床部門1位 準優勝
 神田 舞さん(日本大学歯学部5年生)
 研究テーマ:OCTを用いたバイオアクティブガラス含有歯磨剤がエナメル質の脱灰に及ぼす影響の検討

●基礎部門2位 
 本池総太さん(広島大学歯学部6年生)
 研究テーマ:間葉系幹細胞集塊clumps of MSC/ECM complexを用いた新規再生治療法開発

●臨床部門2位
 三上 優さん(大阪歯科大学5年生)
 研究テーマ:睡眠中のアロマテラピーはSIgAの分泌促進と睡眠中細菌数の減少を促進する

抄録歯周病原細菌の産生するヌクレアーゼの解析 
■■■道家 碧(昭和大学歯学部6年生)

 歯周病は,プラーク中の歯周病原細菌によって引き起こされる炎症性疾患である.歯周病原細菌は,宿主の免疫防御を回避して定着し,歯周病の病態の成立に関与している.
 好中球から産生されるneutrophil extracellular traps(NETs)というDNAやヒストンからなる網目状の細胞外構造体が病原微生物を捕捉し,排除を担うという自然免疫システムが報告された.歯周病原細菌が最初に直面する歯肉上皮においてもこのNETsが形成されている.われわれは,歯周病原細菌が細胞外に分泌するnucleaseがNETsを分解し,宿主の免疫防御を回避して,細菌の定着を可能にしているのではないか,という仮説を立てた.そこで,本研究では,まず歯周病原細菌のnuclease産生能を調べ,nuclease活性をもつPrevotella intermediaのゲノムデータベースからnucleaseホモログ(nucD)を見出し,組換えタンパク質を用いて酵素学的性質を解析した.その結果,組換えタンパク質のnuclease活性にはMg2+とCA2+が必須であり,一本鎖DNA,二本鎖直鎖DNA,二本鎖環状DNAの分解活性が認められた.加えて,ヒト好中球から誘導したNETsの分解活性を検討した.以上の結果から,P.intermediaはnuclease活性によりNETsの防御機構を回避する可能性が示唆され,他のnuclease活性をもつ歯周病原性細菌も同様の機構を持つことが示唆された.

(2014.08.22)

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