財務・厚労両省の折衝,次期診療報酬改定に向けて(日歯)

 

質疑応答のなかで税制についての見解を問われた大久保会長は,事業税非課税や租税特別措置法など概ね従来どおり,現状維持の方針で固まりつつあることに「ほっとしている」と安堵の表情を覗かせた.ただし消費税分については,改定率が関わるため具体的な数字は未定であると前置きしながらも「補填は確実だろう」と述べ,その補填先が“目に見える”基本診療料となるよう引き続き注視していく姿勢を改めて示した.

 日本歯科医師会(大久保満男会長)は12月19日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.翌20日には財務・厚労両省の最終的な調整が行われた後,平成26年度予算編成において最大の焦点である診療報酬改定率が閣議決定されるが,大久保会長は日歯連盟とともに最後まで力を尽くしていく決意を改めて示した.今回の改定率に関する記者会見は,別途24日に開催される.他に紹介された主な内容は以下のとおり.

フィリピン台風被害への義援金
 11月8日早朝に上陸した台風30号により甚大な被害を受けたフィリピン共和国に対し,日歯は12月1日より口座を開設して会員からの義援金を募っている.これまでに170万円を超える金額が集められ,明年1月半ばには現地の歯科医師会を通じて送付される予定である.また,東日本大震災の際に全国各地から寄せられた救援物資のうち,日歯会館に保存されているもので有効性のあるものを精査して,12月19日付で現地へ送付したとのことである.

平成26年度日歯生涯研修セミナー
 日歯はこれまで全国15カ所で講演形式の研修セミナーを行ってきたが,平成26年度予算の縮小により,明年度は全国10カ所に絞って開催することを発表した.DVD形式のセミナーについては前回と同様,全講演を収録し全会員が聴講できるようシステムを整えるとのことである.講演テーマを「健やかに生きるための歯科医療〜歯をまもる,咬合をまもる〜」とし,2015年開催の世界会議(2015年3月13〜15日,東京国際フォーラム)に向けて,健康寿命の延伸に歯科治療を通じてどのように関わるか,会員相互の共通認識を図ることを目的としている.

終末期医療に関する医療・介護従事者の意識調査
 日歯が参画している厚労省の「終末期医療に関する意識調査等検討会」は,終末期における医療・介護従事者の意識を調査し,“終末期”の定義や延命治療にまつわる判断基準について考える検討会である.今回の調査結果自体は前年度のものであるため,歯科に関する報告・調査等はなかったが,日歯はこれまでに厚労省の医療報告等で「高齢者の歯科医療ニーズがきわめて高い」「胃ろうを造設した患者の中にも経口摂取に戻る可能性が25%近く存在する」「口渇・口腔乾燥等で苦痛を感じている終末期の患者が5割以上みられる」との報告があったことから,今後,胃ろう等に入る前の段階からどのように歯科医療を提供し,終末期の医療に関わっていくか,調査項目の追加を要望していく.

(2013.12.25)

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