|
|
|
現在,歯科医院の経営はギリギリのところで踏ん張っている状況であり,このままでは「責任ある歯科医療」が提供できなくなりかねない.プラス改定がなければ,会員としても,せっかく選挙で応援・協力したのに「何なんだ!」となってしまう.あくまでも連盟会員のために組織運営を行っている,との状況を重ねて強調した.
|
日本歯科医師連盟(髙木幹正会長)は11月29日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.会見では診療報酬改定,医療経済実態調査等に関し,以下のように紹介がなされた.
診療報酬改定について
日歯と日歯連盟は,診療報酬改定,税制改正にあたっては日常的に打ち合わせをし,意見のすり合わせを行った上で対応するなど,同じ行動をとっており,両者の間で齟齬はないと思う.
われわれは,かねてより来年度の診療報酬は「プラス改定しかない」と主張している.今後は,厚労省・財務省のなかでバトルが展開されるであろうし,最終的には官邸決着となるプロセスはこれまでと同じになるだろうが,日歯・連盟としては,あくまでも「プラス改定を目指し,後戻りしない」という強い信念を持ってやらねば,と思っている.
医療経済実態調査の結果について
医療経済実態調査の結果が発表されたが,10年単位で細かい数字を出し,分析してみた.
歯科診療所の収支は,平成15年度における医業収益は4,400万円,うち保険診療収益は3,900万円である.平成24年度は,医業収益は4,200万円,うち保険診療収益は3,500万円で,医業収益は10年間でマイナス4.9%,保険診療収益はマイナス9%である.介護収益を含めた収益の合計は4.7%のマイナスである.
一方,医業・介護費用は,この10年間で5.8%のプラスである.
損益差額全体でみると,10年間でマイナス25.8%,平成24年度の損益差額は個人立の一歯科診療所あたり平均1,096万円(1月90万円)であった.
医科歯科格差について
診療報酬における一般医科との差が大きく開いてきている.昭和56年の数字をそれぞれ「100」とした場合,平成24年では,医科が138.4,歯科は57.7である.このように収益が減ってきている話をいろいろなところでし,歯科の実態を知ってもらうようにしている.実態調査は約600のサンプルという少ない数であり,経営状態が“かなり厳しい”などはこれに含まれていない可能性が高く,歯科診療の実態を反映しているものではない,と考えている.
医科も厳しい状況であることに変わりはないが,歯科はさらに疲弊している現状を数年間のデータを示した上で特段の配慮を求めていくつもりである.社会保障をめぐる情勢は,消費税を上げても医療費の伸びに追いつかないが,税制改正等,政府の行おうとしている方向性のまま進むと歯科医院はさらに困窮の度が増すので,連盟としては政治的な交渉を行っていく.
診療報酬改定を主張する段階で三師会の連携は不可欠であろうが,医科歯科格差が広がっている実態は明らかなので,歯科独自の主張を国民歯科医療議員連盟(自民党)のなかでもっとアピールしていくことになっている. |
|
|
|