新宿区歯科医師連盟が5名の「国会議員との座談会」を開催

 

TPP,消費税,診療報酬改定について,ざっくばらんな討論が繰り広げられた.会場からは「国民医療費に占める歯科の割合が7%となり,会員は非常に困っている.どう考えているのか?」などの厳しい質問も出された.これに対し,「医科の医療費の伸び率は自然増が多く,新技術・新素材の開発に力を入れ,市場を拡大している.歯科も学会や企業の力を借りながら新技術・新素材の開発に努めていきたい」(大久保満男氏,石井みどり氏など)との考えを示した.加えて,外来,在宅を含めて高齢者の歯科医療を伸ばす必要があり,エビデンスに基づく歯科医療の確保を実現していく方向性も示唆された.

 11月6日,新宿区歯科医師連盟(米山和伸・理事長)は東京・新宿安与ホールにおいて,歯科医療現場の本音の声を国政の場に反映させるために,“真の歯科医療政策”と題して「国会議員との座談会」を活況裏に開催した.
 この座談会の出席者は下記のとおり(敬称略).
 国会議員は自民党の石井みどり*,武見敬三*,丸川珠代*,山田美樹**,島村 大*氏,そして歯科医師は大久保満男(日本歯科医師会会長),髙 木幹正(日本歯科医師連盟会長),高橋哲夫(東京都歯科医師会会長),高橋英登(東京都歯科医師連盟会長)の各氏で,進行は中島良昭氏(新宿区歯科医師連盟副理事長)が行った. 
 *:参議院議員,**:衆議院議員.

 2011年の口腔保健法成立に続き,昨年末の衆議院選挙,ならびに今年7月の参議院選挙では,多くの歯科系国会議員ならびに日歯連盟が支援した議員が当選をはたしたことにより,国民のニーズに応えた「良質の歯科医療提供」への期待が,かつてない規模で高まっている.
 今回の座談会では,「健康寿命の延伸」を実現する上で歯科医療・口腔ケアがきわめて重要であることが共通認識として語られた.あわせてTPPについては,アメリカの保険会社がすでに介護分野等への参入を行っており,国民皆保険制度がねらい撃ちにされそうになっていることへの危機感も共有された.さらに,消費税については,損税が発生したり,所得格差により“納税する”あるいは“免除される”といった不公平感の伴う現行の方式は望ましくなく,他の先進国と同様,あくまでも「医療は非課税にすべきである」点を強く訴え,その実現を目指す決意が述べられた(大久保満男氏,武見敬三氏など).ただし,病院関係者の構成員(代議員)比率が高い日本医師会は,日歯とは異なるスタンスで消費税問題に対応しており(ゼロ税率や軽減税率等),いずれは両会同士で意見のすりあわせを行った上で,収斂を図らなければならない,つまり歯科が単独で「非課税」を主張することには,限界があることが表明された(日医は日歯の考え方については熟知しているものの,互いの意見のとりまとめには,なお時間がかかる.とはいえ,いずれは結論を出さなければならない時期はやってくる).
 議論の終盤には指導・監査の問題も話題となり,「ある県では,平均以上の診療報酬を受給していることを理由に行政から指導を受けるなどの事例がある.あるいは,それを避けるためにあえて診療報酬の“請求抑制”を起こしている現実があり,技官の質の担保も含めて改善する必要がある」(高橋英登氏)等の課題も指摘された.

 きわめて重要なテーマについて,5名もの国会議員が出席するなか,2時間の限られた時間であったとはいえ,広く意見交換ができた本企画の意義は大きいといえる.今回一致をみた考え(診療報酬のプラス改定や歯科健診事業の推進等)については,ぜひとも国政の場に反映させてほしいものである.


(2013.11.14)

>>> 戻る