歯科関連企業のライオン(株)が日本ヘルスサポート学会賞を受賞

 

田中理事長(中央)より記念品を手渡され,喜びの表情をみせるライオン(株)関係者.

自社のヘルスサポートについて,プレゼン発表を行うライオン株式会社.近年問題が深刻化している“企業や組織内でのメンタルヘルス”に関する取り組みは,学会に出席した多くの企業にとって参考になったことだろう.

 日本ヘルスサポート学会(田中 滋理事長/慶應義塾大学大学院教授)は10月30日,東京・港区の慶應義塾大学三田キャンパスで開催された「日本ヘルスサポート学会第8回学術集会」において「第6回日本ヘルスサポート学会賞」の表彰を行い,歯科関連企業のライオン株式会社など3団体が受賞した.
 同賞は2008年に設定され,ヘルスサポート分野において優れた研究成果を讃える「研究部門賞」と,官公署や民間の企業および団体,営利・非営利を問わず継続的な実践活動による成果を讃える「実践活動部門賞」の2部門があり,今回は,ライオン株式会社・青森市慈恵会・鶴岡市からだ館がん情報ステーションの3団体が実践活動部門賞を受賞した.

ライオン株式会社:健康経営的観点に基づく,従業員に対する全社的健康指針の展開
 ライオン株式会社(濱 逸夫社長)は創業以来,従業員を“協同者”と捉え,従業員の健康こそが「会社の健全な成長を支える経営基盤」との考えに立って,健康で活力のある会社を目指す健康経営を実践してきた.具体的には,経営層の積極的主導の下に全社的健康指針を策定し,人事部健康サポート室(産業保健担当)と健康保険組合が全体的に健康増進活動を積極的に展開し,健康リスクの低減を目指して,生活習慣改善,口腔衛生,メンタルヘルスなど,さまざまな施策を展開している.以下の①〜④に,その一部を例示した.これらの施策はまず,全社健康管理責任者(人事部長が兼務),健康保険組合,健康サポート室との合同会議「健康管理推進委員会」にて議論され,方針が定められている.これにより問題点を明確化し,たとえば従業員とその家族(家族の健診受診率は70%以上)に対する健康啓発・増進活動などにより効果的な健康管理を実現することを可能とした.

①LIS21(Lion life Innovation Seminar 21)
 2001年より,満35歳の従業員を対象にした1泊2日の体験型セミナー「LIS21(Lion life Innovation Seminar 21)」を,毎年実施している.また,40歳以上の従業員の特定健診・特定保健指導について5ヵ年計画を立案し,健康保険組合と協力して健診および保健指導を行い,メタボリックシンドロームのリスク軽減に向け予防活動も行っている.

②ALOHA(All Lion Oral Health Activity)
 2002年の定期健康診断より,社員全員を対象に歯科健診を導入し,口腔衛生の改善をはかるALOHA(All Lion Oral Health Activity)を開始した.公益財団法人ライオン歯科衛生研究所と協力し,従業員の口腔状況改善だけではなく,メタボリックシンドロームと歯周病の関連性を明らかにし,その予防に力を注いでいる.

③メンタルヘルス
 2004年からは,「メンタルヘルス基本方針」を制定し,メンタルヘルス対策にも取り組んでいる.健康診断後の面談とは別に,従業員全員にストレスチェックを実施し,部署ごとに集計した結果の分析を行い,組織的な取り組みを継続している.

④顔の見えるきめ細やかな対応
 おおむね11カ所の各事業所に,従業員300人に1人の割合で看護師を配置し,従業員ひとりひとりに対して細やかな対応を行うことを実現した.看護師は常在,もしくは数カ所の事業所を掛け持ちで回り,従業員の面談や相談,指導を行う.また,健康診断や歯科健診で異常が認められた従業員には,医療機関受診を促す啓発活動をウェブサイト上にて行っている.

 他にも,従業員の家族健診,社内食堂でのヘルシーメニュー提供,清涼飲料水自動販売機のカロリー表示,社内タバコ販売機の撤廃や喫煙所の削減,禁煙チャレンジキャンペーンによる禁煙支援,社内外ウォーキングイベントなどを実施している.このような長年の実践成果が評価され,今回の受賞に至った.

(2013.11.14)

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