受診抑制,健康寿命延伸の妨げとなる負担増への対応を!(日歯)

 

村上恵一専務理事によれば,今年度の新規入会者数は8月末時点で606名とのことである.これは昨年度の504名をすでに超える数字となっているが,新たに設けた第6種会員(臨床研修歯科医を対象)への周知不足など,依然として課題も見受けられる.

 日本歯科医師会(大久保満男会長)は9月26日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.会見では,70歳〜74歳の窓口負担を本則二割に戻すことに対する要望書を中心に,日歯の見解が示された.紹介された内容は以下のとおり.

70歳〜74歳の窓口負担に関する要望書
 日歯は,これまでも70歳〜74歳の窓口負担を一割から本則二割に戻すことに対して強い懸念を表明してきたが,このたび本件が2014年度からの実施を視野に入れて検討されつつある現況を鑑み,同日,厚生労働大臣に宛てて要望書を提出した.要望書では,政府の成長戦略の柱に「健康寿命の延伸」が掲げられたことに高い評価を寄せながらも,8020運動の成果や諸研究から「健康寿命の尽きる年齢(72歳)と歯の喪失時期が一致する」と指摘.70歳〜74歳という年齢は,歯科的観点から,健康寿命の延伸にきわめて大きな影響を及ぼす時期であるため「窓口負担を本則の二割に戻すことは,受診抑制を招くばかりか健康寿命延伸の妨げになる」と警鐘を鳴らし,以下の3つの対応を求めた.
① 本則に従った二割負担への移行について,可能な限り「窓口一割負担」の特例措置を延長し,その間に健康寿命延伸と健康確保の十分な対策を実施すること.
② 本則に戻すことが避けられないのであれば,低所得者への対策等に万全を期して所得による健康格差を作らないこと.60歳または65歳の歯科検診の実施等,健康寿命延伸に資する方策の体制を速やかに構築すること.
③ 日歯は従来より三割負担でさえも社会保障の限度をすでに超えていると主張してきたが,本則への移行実施の時点で,もはやこれ以上の自己負担を強いる方針はあり得ないと認識し,今後の政策を実施すること.

歯科用アマルガムの使用に関する見解
 10月に採択される見通しの「水銀に関する水俣条約」では,人体に有害な水銀の市場取引や環境への排出等が包括的に規制されることにより,水銀の輸出や含有製品の販売が原則的に禁止される.本条約締結に至る経緯を受け,日歯としても7月に設置した「アマルガムの使用削減の在り方検討会」等をはじめ積極的な対応に取り組んできた.具体的には歯科用アマルガムの廃絶に向けての取り組みが挙げられるが,これはあくまでもアマルガム修復物の除去や廃棄による環境への影響等を最小限にするため,適切な除去や回収方法,新たな歯冠修復材料のさらなる推進を検討するものであり,すでに口腔内に充填され安定しているアマルガム修復物の人体への有害性を問うものではない.日歯は今後とも,健康日本21(第2次)や歯科口腔保健法などを踏まえ,引き続き国民のう蝕予防等を進めていく.


(2013.10.07)

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