参議院選挙を終えて(日歯連)

 

髙木会長(円内)は挨拶の中で,“参院選はたいへん厳しい戦いとなる”といわれていたが,会員をはじめ多くの方々の絶大な支援を受け,結果を残せたことに心から感謝の意を表明すると同時に,「会員の期待も大きく,これからが本番と思っている」と述べ,選挙後は診療報酬改定,税制改正を通して,中・長期的には「歯科の医療費のパイを拡大するために努力したい」と,日歯連盟がその実現に向けた実動部隊であることを強調した.

 日本歯科医師連盟(髙木幹正会長)は8月21日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.会見では,参議院選挙後の対応をめぐって,以下のような紹介がなされた.

社会保障制度改革国民会議が報告書を提出
 有識者で構成されている「国民会議」による報告書が安倍首相に提出された.高齢者と高所得者の負担増を一応認めた形となっているが,個々の事案については,自民党としても今後勉強会を開いていく予定である.報告書だけを見ると,医療担当者側としての意見はある.しかし,これはあくまでも有識者・学者の見解であり,かつ途中経過で1つの方向を示したものと思っている.現場の実態を踏まえた場合,「あのまま,すんなりと実行されるとは思っていない」とした.

70〜74歳の医療費窓口2割負担について
 70〜74歳の医療費窓口負担を2割とすることが閣議決定され,その方向にいく可能性が高くなったが,特に歯科にとって大きな問題である.受療率が落ち,重症化につながる恐れもあり,基本的には反対である.
 すでに,平成26年から段階的に進められていくところまで示されると,それを覆す困難さはあるが,医療関係者としては“はい,そうですか”というわけにはいかない.特に高齢の低所得者への配慮を行うなど,これに代わるものや緩和する何らかの策があれば望ましい,との考えを示した.

消費税率のアップに関連して
 消費増税になった分が,そのまま診療報酬改定につながるわけではない.
 消費税率アップによって全体の医療費がふくらむ点については,配慮を示す必要があることを主張していく.消費税増税分を初再診料で調整した場合は患者の窓口負担も増えることになるが,医療費そのものがふくらんだわけではなく,“これは消費増税分なんだ”と認識してもらわなければならない.
 
石井みどり参議院議員との連携のあり方
 石井みどり参議院議員は2期目の当選となり参院厚労委員長に就任したので,いままで以上に連携をとる必要がある.四役会や昼食会を従来以上に密に行っていきたい.同時に歯科関係議員にも呼びかけて,一緒になって話し合いをしていきたい,とした.
 組織代表議員1人の力では,情報の入手等においても限界がある.歯科医師会の会員である地方議員も複数おり歯科の課題に熱心に取り組んでもらっているため,組織代表を核としながら各議員が一緒になって話し合いをし,それに基づいて活動してもらえるならば,議員の活躍の範囲も広がり,深みも増して充実するだろう,とした.

日歯・日歯連盟の連携
 診療報酬1つをとっても,財源が厳しいなかで改定率だけに頼っていては<歯科界の得る>可能性は少ない.診療報酬を上げるほかに指導・監査の問題がある.両者を一緒に扱っていくことは難しいが,これも改善を図るように努めて,全体の環境改善に役立てていきたい.
 いずれにしても,日歯・日歯連盟が一体となって事に当たり,短期的にできるものと,中・長期的に行うものを見越していろいろな手を打ち,総合的に考えていかなければならない,と締めくくった.

(2013.08.29)

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