2013年SCRP日本代表は岡山大・王 碩さんに決定!!

 


表彰後,参加者全員の前でプレゼンテーションを行う王 碩さん(内容は抄録を参照).

発表と質疑応答はすべて英語で行われる.なお,質問しているのはデンツプライ インターナショナル社のテレサ・ A・ドラン副社長.

 今年で第19回を迎えた日本歯科医師会/デンツプライ「スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)」の平成25年度日本代表選抜大会が,去る8月21日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館にて開催された.本プログラムはポスタープレゼンテーションで研究成果を競い合うが,本年度は22名(22校)が参加.審査の結果,岡山大学歯学部4年生・王 碩さんが優勝し(ファカルティー・アドバイザー:十川紀夫准教授),日本代表として,10月31日から米国・ルイジアナ州ニューオリンズ市で開催されるADA/SCRP大会で各国の代表と共に発表を行う.なお,上位入賞者一覧を以下に示す.

第19回SCRP
日本代表選抜大会・上位入賞者


●臨床部門1位 優勝
 王 碩さん(岡山大学歯学部4年生)
 研究テーマ:なぜ煙草をやめると太るのか?

●基礎部門1位 準優勝
 坂本真一さん(広島大学歯学部6年生)
 研究テーマ:Porphyromonas
       gingivalisP.g.)の歯性感染によって非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
       の病態が増悪する―肝臓に到達したP.g.-LPSやP.g.が肝細胞に与える影響―

●臨床部門2位 
 岡部佑妃子さん(日本歯科大学生命歯学部5年生)
 研究テーマ:新たに考案した歯肉血流測定法と歯肉マッサージによる血流量の変化

●基礎部門2位
 清水 綾さん(北海道医療大学歯学部4年生)
 研究テーマ:P.gingivalis由来LPSの長期刺激によるマラッセ上皮細胞のDNAメチル化

抄録 なぜ煙草をやめると太るのか? 
    王 碩(岡山大学歯学部4年生)


 煙草の主成分であるニコチンは,交感神経系への薬理作用を示し,交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンは摂食を抑制すると考えられている.われわれは「煙草をやめると太る」機序を明らかにするため,シナプス間隙でノルアドレナリン量の調節に重要なノルアドレナリントランスポーターに着目し,ノルアドレナリントランスポーター発現に対するニコチンの影響をラットおよび培養細胞を用いて検討した.その結果,ニコチンは,短期的にはノルアドレナリントランスポーター発現を増加させるが,長期的には減少させるという二相性の効果を示すことが明らかになった.これは,慢性的な喫煙はノルアドレナリントランスポーター発現を抑制し,シナプス間隙のノルアドレナリンを増加させることにより摂食を抑制しているが,禁煙はニコチンによるノルアドレナリントランスポーター発現抑制作用を解除することになり,シナプス間隙のノルアドレナリンの減少による摂食量の増加を介して,体重増加に繋がる可能性を示すものである.さらに,ニコチンは,ノルアドレナリントランスポーター転写活性には影響しないことから,その作用点として転写後修飾に関与することが示唆された.

(2013.08.29)

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