個別指導,共同指導に関する監査室への問題提起(日歯)

 

会見後の質疑応答でも指導問題への質問が相次いだ.監査室との勉強会等によって,少しずつ事態は前に進みつつあるが,日歯は今後とも要望や議論を重ねて引き続きの改善を図っていく.

 日本歯科医師会(大久保満男会長)は4月25日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.冒頭の挨拶で大久保会長は,昨今広く認知されるようになってきた「健康長寿社会」という言葉に対して,組織としてまずその実現を提唱し「生きる力を支える歯科医療」を就任以来推進してきた日歯の会長として,口腔ケアの実施による誤嚥性肺炎の予防効果や,歯科口腔保健法の成立など,地域社会へ確かに浸透しつつある歯科医療・歯科保健の存在意義の高まりに喜びを示した.しかし同時に,健康長寿社会実現のため,目的を掲げるだけに留まらず「的確な手段を提示する必要がある」と,歯科界を牽引していく組織としての責任の重さを改めて語った.他に紹介された内容は以下のとおり.

個別指導,共同指導等に関する要望書
 日歯は2012年5月の要望書提出以来,厚労省監査室との間で指導の運用面の問題を中心に活発な議論を行い,問題意識の共有や相互理解が進んでいることについて評価する一方,2012年度の共同指導等の立ち会い結果や地区歯科医師会からの要望などを踏まえ,25日付で現時点での問題をまとめた要望書を提出した.内容は大別すると,①根本的な問題(指導本来のあり方/技官の質と臨床経験の問題/指導等に関わる手続きの可視化/年間指導実績等),②早期是正を求める各論的事項(高点数を理由にした指導の実施と運用,選定除外基準,指導結果“概ね妥当”となった医療機関の扱い),③具体的問題(歯周病を有する患者への歯冠修復や欠損補綴治療),の3項目に分けられる.

大規模災害への対応にかかる提言
 日歯が参画している被災者健康支援連絡協議会(横倉義武代表/日医会長)は17日,内閣府特命担当大臣(防災)宛てに,大規模災害への対応にかかる提言及び要望書を提出した.東日本大震災の教訓を踏まえ,想定を超えた事態が起きた場合にも冷静かつ合理的な対処を可能とする「法的な仕組み」の整備を強く求めるもので,①「大規模災害の緊急非常事態対処法」の制定,②同協議会が取りまとめた対応策に沿った法改正等の対応,③中央防災会議の“委員”に同協議会の代表を据えること,の3点が盛り込まれている.日歯は,国の防災を議論する場に医療関係者が入っていない③を特に問題視しており,他の団体と足並みを揃えながら,協議会として引き続き強く要望していく.

(2013.05.10)

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