持続可能な社会保障のために国民会議へ望むこと(日歯)

 

第三次大久保執行部としては年度内最後の定例記者会見となったが,公益法人移行に伴い,4月1日以降も第四次執行部として6月開催の第173回代議員会までこのままの執行体制を継続する.また,第五次大久保執行部の顔ぶれは,4月26日に会長推薦のもと選出される予定である.

 日本歯科医師会(大久保満男会長)は3月28日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.冒頭の挨拶で大久保会長は,15日に交渉参加が表明されたTPP問題に対して,大変厳しい交渉になるという見通しを持ちながらも「医療,特に国民皆保険制度については“国民の主権を守る”と首相がきわめて強い表現で語ったので,それを信じて今後の動きを注視していく」と述べた.また27日,社会保障制度改革国民会議が医療関係団体を招いて開催した意見交換会についても触れ,「TPPにおいて国民皆保険制度を守るという姿勢であるなら,社会保障制度をどう充実させるかというテーマで臨むべきである」と,取りまとめの時期に差し掛かった国民会議の方向性に関する日歯の考えを述べた.紹介された内容は以下のとおり.

社会保障制度改革国民会議
 会長挨拶でも触れられた意見交換会には日医の横倉会長が公務のため欠席,今村副会長が陪席の形で出席したが,日医としての見解は別途機会を設けて提出されることになった.当日は三師会のほか病院や介護団体を含めた8団体が出席し,超高齢社会における,①持続可能な社会保障制度の充実,②急性期医療の中での機能分化,③地域包括ケアシステムの中での医療介護連携,が主に議論された.日歯は「国民の健康を守る」という基本方針のもと,健康増進活動の充実(地域住民の主体的な参加)と医療提供体制の充実(国民皆保険の充実/公助・共助・自助の連携)を掲げているが,①健康寿命の延伸,②要介護者のQOLの維持と改善,③看取りの医療のあり方,など医療・歯科医療が人々の日々の営みとしての“生活”をどのように支えるか,「治す医療」から「治し支える医療」へのパラダイムシフトを提言.大久保会長は「“歯科医療は国民の生活を守ることができる”という基本的な考え方を,国民会議の場でしっかりと伝えていく必要がある」とまとめた.
 柳川常務によると,意見交換後には,①医師の不足や偏在,②医療連携の機能分化の進め方,③フリーアクセスの問題,④看護師不足や特定看護師の対策,などが活発に議論されたようである.国民会議の委員からは問題点の列挙よりも具体的な解決策の提示を求められるなど,医療提供者側の覚悟を問う厳しい姿勢も見受けられたという.

医療安全研修会の開催について
 日歯は来る4月13日,「診療所の医療安全向上への取り組み――医事処理システムの新たな構築に向けて――」というテーマで医療安全研修会を開催する.都道府県歯が現在それぞれ実施している医療苦情や医事紛争等への取り組みを紹介し,医療事故削減や診療所の医療安全に対する方策を共有することで,行動指針作成につながると期待される.

(2013.04.09)

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