国民のための社会保障・医療政策,新政権に期待(日歯)

 

衆議院選挙の結果を受けて大久保会長は,「われわれの政策にきちんと向き合っていただけた方」には党派を越えて応援に駆けつけたと説明.日歯としての主張は一貫して変わらず,政権与党に対しては「社会保障,特に医療に対して財源を確保し,所得の再分配をするという国としての責任を果たしていただけるよう引き続きお願いしていく」とまとめた.

 日本歯科医師会(大久保満男会長)は12月20日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.紹介された内容は以下のとおり.

臨床研修歯科医のための入会パンフレット
 日歯は今年の4月から臨床研修医に対して,“第6種会員”として入会(入会金:5,000円)すれば,向こう3年は無料で在籍できるという,入会奨励の取り組みを実施している.これからの歯科界を担う若者に,生涯研修制度等を利用して,臨床研修医時代から学術的な講演会などに積極的に参画してもらおうという試みである.

NHKの番組放映に関する意見書
 去る11月29日の夕方,NHKにて放映された番組「ゆうどきネットワーク」(テーマ:画期的な歯の新素材)に関して,報道内容の一部に“視聴者に誤解を生じさせる内容があった”との指摘を複数の会員から受けたため,日歯は同番組へ宛てて今月18日付で意見書を提出した.番組内で取り上げられた新材料は,確かに今年10月1日付で保険適用が認められた新素材「ウェルデンツ」であったが,当該材料は歯冠用加熱重合硬質レジンとして,削った歯に被せて合着する術式においてのみ保険適用が認められたものである.しかし番組内では当該術式以外の,脱着式の冠やブリッジ,有床義歯等に同材料を使用したケースが紹介され,最後には「有床義歯以外の前歯であれば3,000円程度で保険適用される」と結んでいる.このように,保険適用できないものをあたかも“適用可能”であるかのように報道される影響力には計り知れないものがあり,国民に誤解を植えつけ混乱を招く危険性が高い.このような懸念,ならびにその他の学術的な側面から,同番組に適切な処置を講じるよう要請した.

総合政策検討プロジェクトチームによる報告書
 今年6月に立ち上げられた,総合政策検討プロジェクトチームによる報告書が提出された.内容としては幅広い調査のもと新たな分析が加えられ,①過去50年間にわたる日本の歯科医療費の推移,②中医協の調査から推定した自由診療の歯科医療費,③適正な歯科医療費のためのタイムスタディの活用,④個々の診療報酬点数についての検証,⑤医療の効用分析(国民が医療に求める価値基準),⑥混合診療と海外の医療政争,日本のあるべき医療保険制度について,⑦歯科医師の需給問題,⑧超高齢社会における歯科医療(要介護状態の改善効果の試算),などからなる.今回の報告書の特徴としては個々の課題が深く掘り下げられ,各項には分析を行った委員の名前も記されている.日歯は,この報告書が今後の戦略の展開や政策の計画を立てる一助になれば,との期待を寄せた.


(2012.12.28)

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