日歯連盟が第116回評議員会を開催

 
 

髙木会長は挨拶の中で,①歯科医療費の確保,②指導監査の問題,③次期参議院選挙比例代表候補者の擁立,の3点に今後焦点を当てて対応していく旨を述べた.このうち最後の参院選候補者擁立に関しては,10月18日に第4回の選考委員会を開いて候補者1名を選出,翌19日の理事会にて承認,その後同月31日に臨時評議員会を開いたうえで決定したい,との予定を明らかにした.

日本歯科医師連盟は9月21日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において第116回評議員会を開催した.はじめに挨拶に立った髙木幹正会長は,社会保障制度改革推進法案や与野党の党首選挙など現在の政局に言及.医療費抑制政策が国民皆保険制度の崩壊を招きかねないとの強い危機感を示し,「歯科界として主張をするところは主張して,関係団体と協調していく」と,混迷を極める現況を注視しながら冷静に対応していくことの必要性を改めて確認した.
 続いて石井みどり・西村まさみ両参議院議員による国会報告の後,会務報告・会計報告・監査報告の各種報告がなされ,事前質問受付および議案審議に入った.平成23年度一般会計収支決算など計6議案が上程されたが,すべて執行部提案どおり可決された.なお,会務運営関連事項,協議関連事項への事前質問の一覧は下記のとおり.

○事前質問一覧
〔会務運営関連事項〕
・医療基本法について
・日歯連盟からの学会や研究機関への調査研究費の拠出について
・衆議院解散総選挙への日歯連盟の基本的スタンスについて
・次期衆議院総選挙について
〔協議関連事項〕
・今,職域代表と日歯連に望むもの
 関連質問に対する答弁も含め,以下に概要を紹介する.

医療基本法について(新潟県/山下 智議員)
 憲法と個別法との中間に位置し,医療現場の抱える諸問題の解決糸口になると期待される医療基本法は,現在その骨子について医療提供者や患者,有識者,政策立案者間などでさまざまな議論が展開されているが,団体間の温度差など課題も多いと聞く.歯科界においても歯科口腔保健法の上位に位置づけられる同法の制定が切望されるが,日歯連盟としては今後,職域代表国会議員とどのように連携していくのか? スタンスをご教示いただきたい.
砂川 稔常任理事:口腔保健法との齟齬が生じないよう進めていくことが大前提である.また,患者‐医療提供者間の信頼関係構築や国民皆保険制度の堅持,医療の公共性・平等性(非営利)の明示,財源の確保など,政局不安定の中で慎重に見極める必要があり,日歯や組織代表との連携を密に取りながら日医ほか関係団体との調整に臨みたい.

日歯連盟からの学会や研究機関への調査研究費の拠出について(静岡県/犬塚勝昭議員)
 2年ごとの診療報酬改定に際しては,EBMの高い資料・データの作成が必須である.そのためには調査分析研究する組織が必要であり,日歯には日本歯科総合研究機構が存在するが常勤は1名と聞いている.日歯連盟は必要とするデータ作成の際に,歯科医学会の専門分科会や大学等へ調査研究を依頼する考えはないのだろうか? 現在は行っていない政治献金の費用を充て,診療報酬改定にまつわる調査研究の体制整備を検討すべきと考える.
村田憙信副理事長:調査研究費は計上しているが,診療報酬改定に関する医療技術等の調査研究は現在その適用外である.また,以前は機構に研究員を1名派遣していたが,現在はすでに退職.日歯とも相談のうえ検討したい.政党献金予算である寄付金がゼロ執行となっているのは,現在,政権与党が団体からの献金を受け取っていない事情を踏まえたものである.献金自体は連盟の重要な施策であるので予算を回すことはできない.ご理解いただきたい.
峰 正博副会長:厚労省等との交渉事では日歯や連盟は“診療報酬に関する受益団体”と見なされる.そのため,改定率決定の前段階では機構や歯科医学会の果たす役割が大きく,連盟も議員活動をする際のロジックとして調査研究を活用できると思われる.執行部でも方策を考えていきたい.

衆議院解散総選挙への日歯連盟の基本的スタンスについて(鹿児島県/曽山幸一議員)
 政局不安定の難面を迎えているとは思うが,政党政治家の言動に左右されることなく,国民のための歯科医療政策実現と業界権益確保の基本理念に則って,連盟主導型のスタンスで臨んでほしい.具体的な対応をお聞きしたい.
次期衆議院総選挙について(埼玉県/高木忠雄議員)
 次期衆議院総選挙における日歯連盟の基本的な考え方・推薦方針・陣中見舞・当選祝などの支援態勢について,直接選挙運動を行う郡市区連盟よりその方針の説明を求められているため,具体的にお聞かせいただきたい.
髙木幹正会長:真に歯科医療政策に理解・協力いただける国会議員を支援する,という人物本位の基本方針は変わらない.原則は政権与党だが,今回は政党に囚われず地域での活動に重点を置き,推薦・支援の使い分けや,具体的な対応については都道府県・郡市区連盟とも個々の話し合いを持ちながら,流動的かつ柔軟な対応を取っていきたい.また,会長会議でも質問のあった維新の会に関しては,すでに政策すり合わせの打診が来ているが保留にしている.われわれの政策と合わなければ推薦はできないが,情報収集をしつつ最終的にどう向き合っていくのかを考えたい.

今,職域代表と日歯連に望むもの(北海道/木部高博議員)
 最近,ようやく口腔と全身の健康の密接な関わりが広く認知されるようになり,職域代表という専門の知識を持った歯科医師を国会に送り出す意味合いがさらに高まっている.そこで,日歯・日歯連盟執行部と議員との間に意思の疎通は図れているのか,会員が今,何を求めているのかという“会員の声”を聞く場を議員側は設けているのか,疑問が涌いたためお聞かせいただきたい.
寺尾隆治副会長:議員には理事会等にも毎月顔を出していただくなど,可能な限りの連携を取っている.また,会員との交流については各県で開催されるデンタルミーティングや,議員ホームページへのアクセス,議員事務所への電話・FAX等.県歯連盟を通じて日歯連盟に届いた意見や陳情は,必ず議員へ伝えるのでご理解いただきたい.

(2012.10.05)

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