8020推進財団がワークショップ2012を開催

 
 




挨拶を行う大久保満男理事長(円内).
ワークショップでは,ポスト・イット,シール,模造紙を十二分に活用しながら,情報や問題意識の共有化が図られた(上段).すべての発表者が時間を厳守し,的確なコメントを行っていた(下段).

昨年4月より公益財団法人に移行した8020推進財団(大久保満男理事長)は,6月14日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館においてワークショップ2012を開催した.
 挨拶に立った大久保理事長は,医療が臓器別に専門化し,人間が生きる根元的な意味をやや見失ってしまった感のある今日,(生活を支える)歯科医療が日本の医療を変える可能性がある,との問題意識を明らかにした.
 続いて3題の講演が行われた.大久保理事長は「思想としての8020」と題し,8020達成者には自立している人が多い特徴があるとし,(28本のうち)なくしてしまった8本の歯をどうするのかについては,これまであまり検討してこなかった現状をふまえ,“ヘルス(保健)と医療のベストミックスという形で8020を語っていく必要がある”と述べた.また,上條英之氏(厚生労働省医政局歯科保健課課長)は「歯科口腔保健について」と題し,健康日本21と調和しつつ地域の特性を活かしながら歯科口腔保健をすすめていく必要があることなどを述べた.佐藤 保氏(常務理事)は「歯科口腔保健法制定の経緯」と題し,27道県で歯科保健推進条例が制定された現状をふまえ,“国民が,歯科保健の充実が自分たちの健康にとって重要であるか気づいているか(知っているか),行動しているかが重要だ”と強調した.
 次いで,ワークショップに移ったが,NPO法人まちづくり学校の斎藤主税・小見まい子両氏が進行を務め,参加者は自己紹介やお国自慢などでリラックスした後に,7班に分かれて,それぞれの(都道府県の)現状報告や条例制定等の取り組みについて討議を行った.各班では「行政に対する働きかけ」をピンクのポスト・イットに,「地域住民に対する働きかけ」を水色のポスト・イットに書き記した後,模造紙に貼り,班の中で共通する意見を共同でまとめてタイトルを付けた.そして,「最も大切だと思う意見」に赤のシールを,「すぐにでもできそうだと思う意見」に青のシールを貼り,それをもとに意見をまとめ班ごとに発表を行った.
 共通して出された意見は,①口腔保健関連の予算化および歯科専門職の配置を行政に要望していく,②地域住民に対する情報提供,③他職種とのコラボレーションの重要性,などである.すでに口腔保健法に基づく歯科保健推進条例を制定している道県では,それを具体化するうえでの情報交換が活発になされ,条例が制定されていない都府県では,条例化するためのハードルを相互に確認しあうことができたようである.
 最後に深井穫博氏(地域保健活動推進委員会委員長)がまとめを行った.56年ぶりに歯科に関する法律ができたこと,さらに口腔に関する法律としてははじめてとなる「口腔保健法」が実現した喜びをともに分かち合いたいとしたうえで,参加された先生方が責任感に押しつぶされないように今回のワークショップを開いた,との趣旨を改めて表明し,今後困ったことが生じたら日歯の地域保健課に気軽に相談してほしい,と結んだ.

(2012.06.22)

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