診療報酬と税はパラレルに考えていく必要がある(日歯連)
髙木会長(円内)は,「とりまく環境によって歯科界の対応も変わってくる」との考えの下に連盟の活動を進めている,と連盟の姿勢を明らかにした.さらに,本来であれば行財政改革が先に行われるべきだが,その前に消費税増税論議が始まっている.われわれとしては,“責任ある地域歯科医療を提供するためには,これだけの財源が必要だ”との主張はするが,財源をどこからもってくるかは本来政府の(考える)問題である,と述べた.
日本歯科医師連盟(髙木幹正会長)は11月25日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.会見では,第三次補正予算,社会保障と税の一体改革,診療報酬と介護報酬の同時改定,日歯連盟のグランドデザインについて,以下のような紹介がなされた.
1.第三次補正予算(東日本大震災復旧・復興)
歯科として,はじめて政策医療に関わる趣旨の文言が予算の注意書きに入った.逆に言えば,救急医療の中で長年歯科が政策医療に関わっていなかったわけであり,今回の結果を高く評価したい,と改めて述べた.
2.社会保障と税の一体改革
①外来受診時の定額負担,②高齢者の(受診料)負担率の引き上げについては,いち早く「容認できない」と評議員会において決定をし,取り組みを進めてきた.
しかし,当初予想したとおり「共通番号制」導入の問題が出てきた.この問題については,すでに日歯としてもしかるべき見解を出してきた.納税者番号と社会保障に限ってであればともかく,レセプトとリンクすることが懸念される.その場合,医療関係者としてプライバシーに関する安全性が担保されなければ(反対を表明せざるを得ない),とした.
診療報酬と税はパラレルに考えていく必要があり,医療には公益・公共性があり非営利性を保つならば,そもそも税にはなじまないのではないか,との基本的な考え方を示した.しかし今回,消費税増税問題が出てきたが,しっかり解決しなければならないとし,「税制に関する要望(重点項目)」の一番に挙げておいた(社会保険診療報酬に対する消費税の非課税制度を仕入税額控除が可能な課税制度に改める等).また,例年のごとく,租税特別措置法第26条・事業税の非課税の見直しが俎上に上ってきた.きちんとした評価に基づく診療報酬にならないうちに,税制のほうだけ見直すことには矛盾を感じるため存続を希望する,とした.
事業税についても然りであり,医療には公共・公益性があり,非営利的(分野)である.われわれは地域において,検診(健診)も行っている.そのような中で事業税を課してくるとなると,かなりのダメージがあり責任を持って地域保健医療ができなくなるため,事業税非課税の特例措置についても存続を要望する,とした.
3.診療報酬と介護報酬の同時改定
日歯連盟としては,プラス改定を要望していきたいが厳しい状況になってきた.そこで,歯科は“紙出し”などの制約が多いので,これを緩和・撤廃するなどが先決である,との姿勢を明らかにした.これは財源問題に関わらないし,そのことにより臨床現場は診療を行いやすくなり,ひいては審査・指導にも影響与えるので,きちんと主張していきたい.連盟の役割は最終的には“政治決着”に資することであるが,今回の政権与党の政策決定プロセスはわかりにくいため,いろいろなところに布石を打っておき,効率よくタイムリーに動けるようにしておきたい,と述べた.
4.日歯連盟のグランドデザイン
12月2日,「総合政策検討プロジェクトチーム」(日歯)と「戦略検討プロジェクトチーム」(日歯連盟)がお互いに役割分担をしながらすり合わせを行う「日歯・日歯連盟合同政策会議」を開催する予定である.連盟としては,①歯科医療費の確保(税制の問題がからむ),②人脈強化(人材育成),③政策の受け皿となる窓口(行政機関への位置づけ),の3つの柱に基づいてグランドデザインを作成している,とのことである.
(2011.11.30)
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