TPP には改めて懸念を表明 (日歯)
宮村一弘副会長( 円内)は,日歯の共済制度について,「先般の代議員会より進捗した.11 月16日の全国専務理事会議では,かなりはっきりとした形をお見せすることができると思う」と述べた.
日本歯科医師会(大久保満男会長)は10 月27 日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.最初に宮村一弘副会長が挨拶を述べたが,歯科口腔保健法の推進に関する専門委員会の設置についてふれ,厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において,10 月14 日に口腔保健法の推進室ができ,その下に専門委員会を作ることが了承された.11 月中旬に第1回専門委員会が開催され,「基本的事項」(指針)の策定が検討されることとなる,とした(現在,専門委員を打診中).その他に紹介された内容は以下のとおりである.
指導等に関わる要望
新しい執行部体制として6ヵ月が経過したが,この間の指導立会等を含めて対応した結果を踏まえ,共同指導の運営を従前のとおり,厚労省技官は1 名,厚生局技官と都道府県技官は計1 名で担当するなどの要望書を10 月21日,厚生労働省保険局医
療指導監査室長宛に送付した,とのことである(
別紙参照
).
中医協,社会保障審議会報告
歯科に関わる項目として,①金銀パラジウム合金価格引き上げの影響,②がん対策,③生活習慣病対策(糖尿病,たばこ対策), ④社会保障・税一体改革成案におけるその他の患者負担(70 〜 74 歳の自己負担割合の見直し),⑤医療費適正化計画,についてそれぞれ日歯の立場を紹介した.特に④に関しては,「現在の一般3 割負担でも高すぎるレベルであり,将来的にはそれらも引き下げていく方向で検討するべき」であり,70 〜 74 歳の窓口負担率も現行どおり(1割負担)の扱いで対応すべき,と強調した.
平成23 年度第三次補正予算(案)の概要
医療施設等災害復旧費補助金(126 億円)の対象に,はじめて「休日等歯科診療所」「在宅当番医制歯科診療所」が追加された.また,地域医療再生基金の積み増し(被災3県では前倒しで実施:720 億円)については,在宅医療の連携拠点となる医療機関(在宅療養支援病院・診療所)の整備により在宅医療の推進などを図る,とのことである.
身元確認に資する歯科所見のデータ形式等に関する検討会
警察庁,厚生労働省,日本歯科医学会,日本歯科医師会の各担当者からなる検討会であり,①身元確認作業の様式統一および環境整備,②歯科所見(生前データ)のデータベース化,③実証事件(国からの助成を受け2年間)について,それぞれ検討を行ってきたが,将来的には「意見書」として取りまとめる予定とのことである.
日本体育協会とのスポーツデンティスト(仮称) 資格認定講習会の協同実施
今年6 月に成立した「スポーツ基本法」における,「スポーツに関する科学的研究の推進等」の中に,従来のスポーツ振興法にはなかった歯科に関する項目が「歯学」とはじめて明記された.スポーツ歯科分野のレベルアップおよび裾野の拡大を図るために,アマチュアスポーツの統一組織であり,かねてよりスポーツ指導やスポーツドクターの養成を実施している公益財団法人日本体育協会と新たな協力関係を構築し,スポーツデンティスト(仮称)資格認定講習会を協同実施することを検討中である.
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への対応
日本医師会が座長を務める国民医療推進協議会はTPP に反対すると表明しているが,日医はかねてより4つの懸念事項を挙げている(①日本での混合診療の全面解禁により公的医療保険の給付範囲が縮小する,②医療の事後チェック等により医療保険の安全性が低下する,③株式会社の医療機関経営への参入を通じて患者の不利益が拡大する,④医師,看護師,患者の国際的な移動が医師不足・医師偏在に拍車をかけ,さらに地域医療を崩壊させる).
日医の懸念に対して,日歯も同じく懸念を表明する.ただし24 分野の作業部会を厳密に見たときに,「医療」の分野は含まれていないが,TPP とリンクしている「日米経済調和対話」には明らかに「医療の市場化」が入っているため賛同できない,との考えを改めて示した.
(2011.11.07)
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