平成24年度の同時改定,結論は慎重に検討(日歯)
質疑応答では政府の第一次補正予算に関する質問も挙がった.大久保会長は,21カ所の仮設歯科診療所や巡回診療車など「われわれが緊急に行うべきだと主張し,お願いをしたことが認められたのは大変ありがたいこと」と評価し,「国が責任を持って仮設の診療所を設置し,運用は県の歯科医師会に任せて,復興まで地域の歯科医療を確保することが大切だ」と述べた.今後は地元の要望にできる限り沿うことと,かかりつけ歯科医機能を果たすために,個人歯科診療所の復興が地域の復興と併せて行われるよう日歯連とも協同して求めていく.
記者会見の最後には,歯科記者会からの総意として,今回の東日本大震災に際しての義援金が大久保会長に直接手渡された.
日本歯科医師会は4月28日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を開催した.はじめの挨拶で大久保会長は,実際に被災地を訪れた印象を語り「われわれが通常行っている歯科診療は,弱者,たとえば高齢者の在宅など非常に厳しい立場に立たされている人々を,歯科医療を通してどう支えていくかというものである.これは被災地や避難所における口腔ケアともまったく同じ精神であり,社会保障の重要性を改めて感じた」と述べ,これからも被災地支援はもとより診療報酬改定も含め,高齢社会における歯科の役割をしっかり果たしていく,とまとめた.
会見では夏期の電力需要対策,先の震災における会員の被災状況の詳細や派遣状況の説明があり,最後には平成24年度の診療・介護同時改定にも触れ,「現時点では早急に結論を出すことは待ちたい」と,決定については日医とも足並みを揃える方向性を目指し,慎重に議論を重ねていく姿勢を示した.
電力需給問題対策PT
地域の歯科医療を確保するため計画停電の回避と,やむを得ず実施する場合には事前の情報提供が迅速かつ正確に行われる必要性を,政府与党が設けたヒアリングの場で訴えた.歯科診療所では大量の電力を必要とするような機器等は基本的に使用していないが,今夏の電力問題は国民的な視点で取り組むべき喫緊の課題である.そのため東京・東北電力管内の会員に協力を求めるべく,節電への取り組みを書面にて各都道府県歯科医師会へお願いした.
歯科医師の派遣状況について
身元確認作業については,これまで約2:1の割合で被災県からの出動のほうが多かったが,被災県の歯科医師の疲労が溜まっていることと,現地が徐々に復興し始め歯科医院での診療が元のペースに戻りつつある状況から「日歯からの応援を増やしてほしい」との要望が岩手・宮城の2県から寄せられた.日歯では,この件についてすでに対応している.また福島は5月4日に自衛隊が撤退することもあり,派遣に関して意向を伺ったところ「ご遺体の数が少ないので自県の先生方に対応していただく」との回答を得た.
これまでの歯科医師派遣は,予定も含めると22の都道府県歯科医師会から行われたが,今後はまだ一度も出動をしていない県から人員を派遣していただく.また,口腔ケアや歯科医療にまつわる歯科医師の派遣については,厚労省の歯科保健課,ならびに現地行政とも連携しながら進めている.
次期診療報酬・介護報酬同時改定について
このたびの震災を受けて状況は混乱しており,「このような時期に論ずるべきではない」「逆にこのような時期だからこそ社会保障の充実を図るべきである」……などさまざまな意見が出ているが,日歯としては前回の改定以来,次期の同時改定へ向けて国民歯科会議等の議論を重ねて対応の準備を進めている.多様な考え方があることは承知のうえで,被災地の現状への配慮を第一としながら情報収集をし,日医とも足並みを揃えつつ,最終的には方針を決定していきたい,と現時点では結論を出さない慎重な姿勢を改めて示した.
日本歯科医師会会員の年代別構成表(数値は会員管理システムデータによる)
(上の画像をクリックすると別ウインドウで拡大表示します.)
(2011.05.17)
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