大阪大学歯学部附属病院「近未来歯科医療センター」活動本格化に向けて
──設備,活動内容,利用方法について

 
 大阪大学歯学部附属病院に昨年設立された「近未来歯科医療センター」(森崎市治郎センター長)が,大阪大学創立 80周年,歯学部創立 60周年となる本年,より充実した体制でさらに本格的な活動を開始する.“最新の歯科医療 ”の提供,さらに “近未来の歯科医療 ”の早期実現に取り組む同センターの活動は,一般臨床家・患者双方を支える心強い存在として期待される.
 ここでは,「近未来歯科医療センター」設立の目的や設備・活動内容,一般臨床家が利用する際の連絡方法などについて紹介する.(以下,同センタースタッフ・歯科補綴学第二教室助教/和田誠大先生による解説)

・センター設立の目的
 現在,インプラント治療はその予知性から補綴治療のひとつの選択肢として確固たる地位を築いています.ただその予後を確実なものにするためには,われわれ歯科医師が確実な知識・技術を習得して治療を行うことが必要です.また患者さん側としては,より環境整備がなされた施設にて処置を受けることで,安全かつ安心を得られることになります.さらには自己の細胞を利用した再生治療も近年注目されてきており,その臨床応用が望まれています.以上の目的を果たすため,平成 22年4月に近未来歯科医療センターを設立しました.

・実施中,実施予定の活動内容
 現在設立後1年弱ですが,定期 BLS(一次救命処置)講習会,外科手技基本講習ならびに定期カンファレンスを行っています.また今後これら定期講習の継続実施に加え,外部への情報発信を行っていく予定です.実際の施術に当たっては,補綴医,口腔外科医,歯科麻酔医ならびに看護師が連携をとって行っています.さらに併設のCPC(Cell Processing Center)では,患者自身の細胞を利用した再生治療を目指し,その臨床応用を行っていく予定です.

・主な設備と特徴

当センター主催の講習会.口腔外科医の指導のもと,効果的な手洗い方法の実践や手術着の着用方法など,改めて徹底すべき基本外科手技に関する講習会を定期的に開催し,患者さんに安心安全な医療を提供できるように研鑽している.

手術室に設置している治療器具の一例.マイクロスコープやピエゾサージェリーなど,より確実な治療が実践できるよう整備している.
   

待合室.コンセプトは「手術に対する緊張感を和らげる」を目的に,落ち着いた空間を提供できるようデザインされている.

カウンセリングルーム.当センターにはカウンセリングルームが 2室設置されており,インプラントを希望された患者さんをはじめ,治療に関するさまざまな情報を十分な時間をかけて提供できるように配慮している.また手術後のケアに関する情報についても,詳細に説明を行っている.

・一般臨床医が利用するにはどうしたらよいか(連絡方法)
 たとえば,大規模な骨造成が必要な症例や,リスクを抱えられた患者さんへの対応などに関して近隣施設との連携をとっていく予定で,現在そのためのシステム整備を行っています.一般臨床医の方に実際にお越しいただいて手術を見学していただくことも可能ですし,附属病院あるいは大学研究科への所属などの手続きを行えば手術に参加していただけるという形式も検討しています.今後システムの整備が整い次第,詳細な内容をお知らせいたします. なお,インプラント治療のご依頼先,お問い合わせ先は以下のとおりです.
紹介状:近未来歯科医療センター宛(月曜から金曜まで:原則は午前中)
電話:06-6879-2949


(2011.02.17)

>>> 戻る