日本歯科評論7月号
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田た中なか利とし典のり診療ガイドラインから考える深在性う蝕への臨床対応 さて,前述の診療ガイドラインについての解説を踏まえたうえで,次は臨床の場を想像していただきたい.たとえば,「深在性う蝕に対して暫間的間接覆髄を行うべきか」というCQでは,前提として「その症例に暫間的間接覆髄が適応かどうか」や「どのような手順で行うのか」を理解していなければこのCQに対する診療ガイドラインの推奨文を実践することはできない.また,直接覆髄や断髄も同様に,歯科材料の選択の前にどのような症例が適応か,あるいはどのように行うかを把握していることが前提となる.そのため,診療ガイドラインを活用するにあたり,術前の診断,そして実際に行う術式について事前に理解し,各症例でチェアサイドにて意思決定していく必要がある(図1).さらには,治療が済んだ後も予後を診ていき,追加の治療が必要になるかどうかも見極めることが求められる. 一方で,これらの意思決定や予後判定においては臨床的な難しさや課題も存在する.ここからは,歯髄保存について考察しているESE(European Society of Endodontology)のポジションステートメントを参考にして診断,術式,予後について整理し,歯髄保存の成功の鍵と臨床課題について考察する■).川勝歯科医院〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-18-17日本歯科評論(通刊第969号) 39特 集究極の歯髄保存はじめに――成功の鍵と臨床課題:診断,術式,予後3.実臨床での歯髄保存

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