歯周外科のベーシック&アドバンス
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Dental Review Special Issue岩いわ田た隆たか紀のり 福ふく場ば駿しゅん介すけ東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体支持組織学講座 歯周病学分野 歯周組織の再生について成書の中では下記のように定義されている.「喪失あるいは損傷した組織が,形態的かつ機能的に完全に再構成あるいは再構築すること」■).この歯周組織の再生を目指して,1920年代からさまざまな骨補塡材を用いた骨移植術が行われてきた.また,1976年に発表されたMelcherの仮説に基づき,1982年にNymanらによってミリポア・フィルターを用いたGTR(guided tissue regeneration)法(歯周組織再生誘導法)が発表され,非吸収性ePTFEメンブレンに始まり,吸収性メンブレンの開発が進んだ. 1990年代後半からは,まったく異なるコンセプトをもったエナメルマトリックスデリバティブが開発され,その術式の簡便さから,GTR法に代わって広く臨床応用されるようになった.2000年代前半には,成長因子としてPDGF(platelet-derived growth factor/血小板由来増殖因子)やBMP-2(bone morphogenetic protein-2/骨形成タンパク質),PRF(platelet-rich fibrin/多血小板フィブリン)などが研究,開発されたが,世界的な広がりを見せるまでは至らなかった(図1). 骨移植術として自家骨移植に始まり,他家骨,異種骨,人工骨とさまざまな製品が研究,開発され続けている.また,日本では2016年にFGF-2(fibroblast 70 THE NIPPON 図1 歯周組織の再生を目指して.セメント芽細胞骨芽細胞歯根膜線維芽細胞歯根膜由来間葉系幹細胞再生が期待されるスペースを確保し,足場として骨伝導を期待する骨補塡材骨移植術血餅歯根膜細胞による再生が期待されるスペースを確保する(スペースメイキング)GTR膜guided tissue regenerationGTR法エナメルマトリックスタンパクによるセメント質形成促進を期待するbone graftingEMDenamel matrix derivativeエムドゲイン(EMD)歯周組織再生療法で用いられる 再生材料の変遷歯周組織再生療法に再生材料を用いる効果II-5

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