樋状根とRadix Entomolarisへの対応
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図₁ 一般的な下顎第一大臼歯の根管の配置. 2012年に出されたAbellaら■)の下顎第一大臼歯の遠心舌側根に関するレビューでは,1970年から2011年12月までのすべての論文が網羅され, 45論文から合計19,056本の下顎第一大臼歯を対象として,遠心舌側根の出現率は14.4%であり,性別による遠心舌側根の出現率に有意差は観察されず,両側での出現の傾向が観察された.遠心舌側根の長さは,遠心頰側根の長さよりも短く,ほとんどの遠心舌側根は頰舌方向に彎曲していたと報告されている.また,遠心舌側根の出現率は特定の民族集団と関連があったとも報告されており,モンゴロイド(中国,台湾,韓国,イヌイット,ネイティブアメリカンインディアン)では20%以上であるのに対して,アフリカでは3.1%,ユーラシアでは5%以下,インドでは4.5〜13.3%,コーカサスでは3.4〜4.2%であったと報告されている.これら45論文中■論文(11.1%)がMDCTもしくはCBCTを用いて評価していて,16論文(35.6%)がエックス線の単純撮影,23論文(51.1%)が抜去天然歯,■論文(2.2%)が評価法不明であった. 抜去天然歯による評価においてREの出現率といっても,■根性と■根性では歯周病が原因で抜去することになった場合,■根性のほうが抜去に至らずに済んでいる可能性が考えられるし,う■が原因で抜去することになった場合,歯根を分割や破折のない状態で抜去することが難しいため,サンプル数に偏りがある可能性が高い.エックス線の単純撮影では,正確に検出 できるかどうか疑問が残る. REを有する第一大臼歯であってもエックス線の撮影方向によっては判別が困難で   101MBDML REの地域(民族)による出現率の違い

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