1PartⅠ辻つじ本もと 恭やす久ひさ ■状根は名前のとおり,■状をしている歯根のことをいう.正式には下顎第二大臼歯に多く発現するもので,頰側で近心根と遠心根が癒合したまま分裂せずに完成した状態をいう.また,■状ということで考えると上顎第二大臼歯の近心頰側根と遠心頰側根が癒合してしまったもの等も,本書では■状根と考え,根管治療の難しさについて考察していきたいと考える. 詳細については下顎第二大臼歯の■状根を2■1で鈴木 誠先生(14頁)に,上顎第二大臼歯の■状根を2■2で中澤弘貴先生(22頁)にそれぞれ解説していただく. 下顎第二大臼歯の■状根は,Suzukiら■)や小川ら■)が報告しているように,モンゴロイドに発現率が高いが,特に日本の女性の集団に多く,発現率は50%を超える.歯根の形態が■状であっても,根管形態はいわゆる■根管状のC-shaped canalだけを示すのではなく■根管で対称型のものや非対称型のもの,あるいは■根管や■根管でも円形タイプのものなどさまざまな形態がある. 図₁にMinら■)が報告した■状根の典型的な髄床底の形態を示した.通常の下顎第二大臼歯の歯根数は■根であるが,■状根は歯根が癒合することで■根になっていて,その中に根管が存在し,複雑な形態を呈している. 厄介なことに根管が結合している部分や結合していない部分があること,いわゆる通常の根管における管間側枝(イスマス)が複雑に存在する(図₂)■).しかし,臨床10 下顎第二大臼歯の樋状根なぜ,樋状根の治療は難しいのか?
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