MTA アップデート2021-2022
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図■プロルートMTAによる直接覆髄■日後(ラット臼歯).薄いデンティンブリッジ(*)がすでに形成されている.バー:100µm.MTAの現在像と開発動向   9歯内療法用セメント(bioactive endodontic cement)」という■称用語も提唱されているが■),これは生体機能性が組成以上に普遍的な性質と■えられるためである.本項では■宜的に,■称用語として「MTA系セメント」を用いる. 本項では以上の動向を踏まえ,まずMTA系セメントの生体機能性と生体作用を■観したのち,国内で現在入手可能な製品を中心に,多様化したMTA系セメントの現状を■説する.なお,わが国の医薬品医療機器等法ではほとんどのMTA系セメントは覆髄材として承認されているが,直接覆髄■)はもとより,逆根管充塡,穿孔封鎖,根管充塡(根未完成歯や根尖開大歯の根尖封鎖,根管用シーラーなど)といったさまざまな用途に対する多くのエビデンスが海外から報告されている■).本書ではこの状況に鑑み,覆髄以外の用途も含めて扱うこととする. プロルートMTAは,いわゆるポルトランドセメント成分(ケイ酸三カルシウム■CaO・SiO■,ケイ酸二カルシウム■CaO・SiO■など)を主成分とし(約75%),造影剤(酸化ビスマス;約20%)や石膏(約■%)が添加されている.ケイ酸カルシウムの水和反応により,水酸化カルシウムの結晶がケイ酸カルシウム水和物とともに生成し(図■-①),この水酸化カルシウム結晶の緩徐な溶解によるCa■+やOH−の**MTA系セメントの生体機能性と生体反応

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