MTA アップデート2021-2022
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興おき地ぢ隆たか史し Mineral trioxide aggregate(MTA)は,直接覆髄,穿孔封鎖,逆根管充塡など,歯内療法のいわば難症例に良好な成績を期待しうる材料として開発され,初発製品(ProRoot MTA,Dentsply Tulsa Dental)は米国で1998年に発売後,世界的に急速に普及した.この材料は,いわゆる土木■築用セメント(ポルトランドセメント)に造影剤の添加や不純物の除去などを施して歯科用に改変した水■性セメントと端的に述べることができる■,■).わが国では2007年にプロルートMTA(デンツプライシロナ)が「歯科用覆髄材料」との薬事法(当時)承認で発売されたのち,普及が進んだ. プロルートMTAは,Ca■+やOH−などのイオンの持続的遊離に基づく生体機能性(後述)を備えることを特徴とし,生体■和性,■組織誘導能,封鎖性などの面で■して高い評価が与えられている.その例として,本材料で直接覆髄を行った場合,従来の水酸化カルシウム製剤と比較して高率に被蓋■組織(デンティンブリッジ)が形成されることが多数の研究で示されている■)(図■). ところが,プロルートMTAは決して完成された歯科材料とはいえないことから,■化時間,操作性,色調安定性などの改良の世界的動向が生じ,続々と新製品が開発されている■).これらは組成,■化機構,材型とも多彩で,ケイ酸カルシウム(初発製品の主成■)を含まないものすら存在する.このため確定的な■称用語は定まっておらず,「ケイ酸カルシウム系(CS)セメント」「バイセラミックス材料」「バイオシリケートセメント」などのさまざまな用語がほぼ同義で用いられている.「生体機能性8   第Ⅰ章 MTAの現状を再検証するMTAを概観するMTAの現在像と開発動向

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